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1997年8月作成資料



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地球温暖化'97
[レポート編]

地球環境問題
 “解決策”の探求

太陽光発電の普及策
  と問題点

■ 原子力は地球温暖化
  の解決とはならない
気候変動と
  地中海地域

産業界と
  地球温暖化論争


地球温暖化'97
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原子力は地球温暖化の解決とはならない
(1997年8月作成資料)


  1. はじめに
  2. 経済性の破綻
  3. 競争力という誤謬
  4. 予見できぬ費用
  5. 原子力開発がいきつく先の帰結
    1. 放射性廃棄物:解決不可能な問題
    2. 事故の恐怖と健康への脅威
    3. 核兵器:統制のきかない世界規模の拡散
  6. IPCCの見方:「安全保障上の脅威は…途方もなく大きい」
  7. 結 論

付録●商業用再生可能エネルギー技術





1●はじめに

原子力産業は、原子力を無公害で安価、安全な、あるいは信頼性の高いエネルギー源として確立することに失敗した結果、現在世界中でほぼ半永久的な衰退期にある。核廃棄物管理や安全性確保、費用の面で現在進行中の危機は、原子力産業の信頼性を著しく損ねている。
現在のところ原子力産業は、再度国家の支援と予算を得るためにもっともらしい理由を見つけようと悪あがきをしている最中である。なかでも、主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を原発が排出せず、従って化石燃料を原子力に転換することが、消費行動のパターンを急激に変化させずにCO2を削減するための唯一の道であるという主張を原子力産業は展開している。

しかしながらこの議論をざっと検討してみただけでも、原子力が気候変動の解決に何の役割も果たさないことがわかる。事実はむしろ正反対である。
原子力を有効な解決策として推進しようという試みに幾らかでも資源を費やすことは、地球温暖化の脅威を減らす本当の努力に水をさすことになるだろう。

過去20年間を通じて原子力産業は世界的に低迷する傾向にある。1998年末までには、北米と西欧のどの国においても、建造中の原子炉は一つもなくなると予想される。
世界的に見て原発の発注数が頂点に達したのは40基以上の発注があった1968年であり、それ以来発注数は減少し、原子力産業は今日、閉鎖される原子炉の容量をかろうじて更新できているにすぎない。

もちろん気候変動を止めるために即刻行動が必要とされていることは明らかである。CO2の排出はただちに削減しなくてはならない。しかし発電はCO2の主要な発生源の一つでもある。
そこで我々は地球温暖化に取り組むため、CO2排出を大幅に減らすことのできる、電力生産・消費の方法を模索しなくてはならない。
また、地球温暖化に取り組む最善の方法を決めるためには、化石燃料の代替物の費用効果と同時に、それが環境に及ぼす影響も考慮に入れる必要がある。


2●経済性の破綻

ビジネス雑誌「フォーブス」によれば、米国の原子力発電政策はビジネス市場最も大きな経営上の災害であるとランクづけられている。原子力産業が原子力の主な利点の一つとして常に挙げるのは、他のエネルギー源よりも安くエネルギーを生産でき、かつ公害が少ないということにあった。しかしながら原子力が低公害だとか安いとかいう主張は神話であることが露呈してきている。

安い原子力という初期の希望は、原発の建設こそ化石燃料を燃やす発電所より高くつくとはいえ、原発の運転と維持にかかる費用が極端に低いであろうという希望的観測に基づいていた。
しかしこのような初期の楽観主義は完全に見当違いであったことはこれまでの経験が示している。

実際には、原子力事業にかかる費用は、どのレベルをとってもこうした初期の予想を超えてしまっている。
まず原発の建設費用は多くの国で最初の予想よりはるかに多くかかることが判明した。というのも原発の建設には予想以上に長い期間を要し、予期せぬ技術的な問題も数多く生じたからである。
また運転費用もその増加が予想していたより大きかった。例えば、安全性の要求水準の増大や頻発する機器の故障に伴う費用は、核廃棄物の処理に多額の費用がつくという問題によって倍加している。
さらに、原発の廃炉にかかる推定費用もうなぎ登りに高くなってきている。

原子力発電の費用に関し信頼できるデータはなかなか手に入らない。原発事業者の提供した費用情報を調査した、最近のある国際研究によれば、データが疑わしかったり不正確であることはしばしばである。
そうしたデータの基になっている仮定が過度に楽観的であることも珍しくない。実際には、リスクもなくCO2排出も少ない代替エネルギー源の方が、キロワット時当たりの発電費用が安い。

例えば米国では1978年以来、新規の原発の発注はない。しかも米国は、もともと加圧水型原子炉の設計を始め、他のどの国よりも多くの原子炉をもつ国なのである。特に1979年のTMI(スリーマイル島)原発事故後に安全措置が追加されて以来、建設と操業の費用があまりにも急激に増加したので、倒産の危機に直面した電力会社も出てきた。

またイギリス政府は、原子力産業の民営化を検討した後、地球温暖化対策を名目にして新規原発建設に公共の資金をあてようという原子力産業の要求を拒否した。その6カ月後、ブリティッシュ・エナジー社は計画中の2つの原発発注を取りやめたが、これによりイギリスでは過去40年間で初めて、原発の新規建設計画がなくなった。


3●競争力という誤謬

1970年代の石油危機以来、「新しい」発電方式が幾つか登場してきたが、そのうち現在のところ「実用可能」で「商品価値のある」とみなされているのは一握りにすぎない。しかし、これら少数の発電方式は信頼性があり持続可能な発電方式だと考えられており、民間投資を確保するだけの実力がある。そのためこれらの技術の多くは、毎年数百メガワットの設備容量をもつ本格的な利用の段階に入っているといえる。
一方で、原子力発電はあてにならないということがはっきりしてきた。特に世界銀行は次のように述べている。
「エネルギー部門への銀行からの貸し付けには部門の投資、規定、政策を検討していみることが必要だ。エネルギー部門の原子力発電所については経済的ではなく、それらは大きな白い象なのだ」

さらに、アジア開発銀行はこう書いている。
「世界銀行は(原子力発電についての)こうした背景に大変関心を抱いており、多くの憂慮から途上国においての原子力発電所計画への融資にはかかわってこなかった。憂慮には原子力技術の移転、調達の限界、核拡散のリスク、燃料供給、環境面、安全性に関する問題が含まれている。
世界銀行は原子力発電への融資には関わらないという政策を維持するだろう」

風力や水力、太陽光発電、埋め立て処分場発生ガス(ただし有害物質の発生がないことを前提)、それにバイオマス(生物資源)は、太陽電池を用いた直接転換によるにせよ、熱射によって生じた地球規模の熱流によるにせよ、水の循環を通じて伝達される潜在的エネルギーによるにせよ、あるいは植物によって吸収され植物の分解によって放出されるエネルギーによるにせよ、いずれもエネルギーを太陽から得る。太陽は数百万年間は輝いていると予想されるから、これらのエネルギー源は持続可能な方式だとみてよいだろう。
一方、原子力発電は限りのある燃料を使っている。

1990年代後半になって、再生可能エネルギー産業は劇的に競争力をつけてきている。

新規の発電所の建設が新たな電力需要の拡大に対処する唯一の方法というわけでもない。
需要の増大には直接に対処することもできる1990年にコロラド州ロッキー・マウンテン研究所のビル・キーピンとグレゴリー・カッツは、CO2削減に果たす原子力とエネルギー効率化措置の役割を詳細に分析した。その結論は以下の通りである。
「キロワットあたりの資本費用を3千ドルと仮定すると、新規の原発による発電費用は(1987年当時のドルで)キロワット時あたり13.5セントと推定される。
一方、電力消費効率を改善する場合の費用と節電可能性を分析した研究は数多くあり、小型蛍光灯や改良型の冷蔵庫やスチーム・ヒーター、モーターの改良などを含む幾つかの技術が検討された。最善の電力消費効率改善にかかる費用は節約される電力キロワット時あたり1セント未満となり、また様々な電力消費効率改善技術によってばらつきのある費用の平均値をとったとしても、2セントで済むことがわかっている」

これらの結果を基にして、石炭火力発電を、電力効率改善に代替させていく戦略をとるとすると、1ドルを投じれば50キロワット時のエネルギーが代替できるのに対し、原子力推進に補助金1ドルを投じても7.4キロワット時のエネルギーしか代替できない計算になる。


4●予見できぬ費用

原子力産業の楽観的な仮定を補正するだけではなく、どのようなエネルギー源にせよ、その費用は外部費用を含むものでなくてはならない。しかし外部費用は電力事業者の収支報告には載らず、隠されている。

原子力の外部費用に含まれるのは、環境破壊、原子力事故の及ぼす健康や社会への影響、原子力施設の日々の運営にともなう健康被害と環境汚染、また、原子力施設からの廃棄物や原子炉の解体に関連する長期的な問題にかかわるものなどである。
「外部性」は経済効果、雇用、環境、環境への影響、健康への影響と政府の補助を含めて定量化すると役に立つ。電気の発電原価に定量化した社会的費用を加えると、原子力の総費用は極端に高くなる。原子力はもはや、最新世代の再生可能エネルギー技術に価格競争力で太刀打ちできないことがわかる。


5●原子力開発がいきつく先の帰結

CO2を排出しないエネルギー源として、原子力よりも他の再生可能エネルギーの方が明らかに効果的であるのに加え、原子力には、「外部性」として直接に定量化できないような環境問題を数多く引き起こす。このため、環境という視点からみて原子力は容認できるものではない。

「気候を守るための原子力」という考え方を論理的につきつめていくと、国際的に合意された気候変動防止の目標達成のために、いったい何基の原発を建設しなければならないのかを問う必要がある。試みに世界中の一次エネルギー生産構成比に占める原子力の割合を倍増させることを想定してみると、この考えがいかに非現実的で魅力に乏しいものであるかがわかる。

現在、440基の原発が世界の一次エネルギー生産構成比の約5%を供給している。もしこの構成比を二倍にしようとするなら、それに対応する数の新しい原発を今後、建設しなくてはならないだろう。
しかしこの途方もない努力をしたところで、一次エネルギー生産構成比に占める原子力の割合は倍増するどころかむしろ減少するのである。というのは、絶対量でみた場合、世界のエネルギー需要は次の25年間に少なくとも1.5倍増えることが予想されるからである。

従って(エネルギー消費が)「これまで通りのやり方でいく」というシナリオで原子力のシェアを倍増させるには、原子炉の数を二倍にするのではなく、実は、三倍にする必要がでてくる。
つまり880基ではなく、1,320基の原発が今後25年の間に送電を開始しなくてはならないだろう。

このシナリオで行くと、1基あたりの建設期間を楽観的に10年としても、2007年から毎週1基ずつ原発の操業を開始しなくてはならないことになる。たとえそれが可能だったとしても、気候変動防止の観点から見ると何の進展もみられないだろう。
中期的にみて気候変動防止にはCO2排出の80%削減が必要だが、この目標に意味のある貢献をするためには、一次エネルギー生産構成比に占める原子力の割合を将来さらに増やす必要がある。しかし1,320基の新規原発でも不十分なので、最終的にはさらに多数の原発を建設しなくてはならないだろう。

そのような大幅な原子力拡大政策は、原発新設の凍結(モラトリアム)のような政治的な障害を取り除く必要があるし、また多くの国での原発の放棄を決めた政治的決定を覆す必要がある。
こんにち、EUの15のメンバー国のうち14カ国が原子力発電所を持ってないか、段階的に廃止する予定があるか、または予見可能の将来において新規の原子炉を立てる予定がない。実際、多くのEUメンバー国が世論の反対のために原子力発電から撤退している。原子力産業はスウェーデン、イタリア、オーストリア、スイスでの国民投票で否決された。

原子力の実質的な拡張の技術的な制約としては、原発や核燃料サイクル施設をつくるのに要するリード・タイム(計画から操業開始までの時間)や設備生産能力の制約がある。
原子力の拡張にはまた、放射性廃棄物処分場や核燃料サイクル施設など、核技術の周辺設備も世界中に配備する必要がある。


5-1●放射性廃棄物:解決不可能な問題

原子力発電は40年以上も運営されてきた成熟した技術である、とたびたび言われてきた。にもかかわらず、どの形状の放射性廃棄物であろうと、その処理において環境の観点からも受け入れることができるような計画はどこにもない。
この問題は放射性廃棄物の継続的な生産によって日々、悪化している。

核廃棄物は、ウラン採掘から使用済み核燃料再処理まで、核燃料サイクルのあらゆる段階で発生する。核廃棄物の大部分は数千年もの間有害であり続けるので、将来の世代に死の灰という放射能の遺物をのこすことになる。

原発敷地内では、高レベル廃棄物を定期的に原子炉から取り除かねばならず、ほとんどの原発ではこの「使用済み」燃料が水を満たした冷却プールに一時的に保管されている。

独立の専門家による見積りによれば、原発の急激な拡張を基礎としない場合、全世界の使用済み核燃料の総量は1994年に14万5千トンであったのが、2010年までに32万2,000トンにまで増加すると予想されている。宇宙への処分も含め様々な処分法が何十年にも渡って議論されてきたものの、核廃棄物を環境から永久に遮断する実証済みの方法は依然として存在せず、地球温暖化に伴い海面の上昇が予想されるとあってはなおさらである。

またどの原発でも通常の操業の一環として、幾らかの量の核廃棄物質が直接環境中に放出されている。例えば液体廃棄物は海に放出され、気体廃棄物は大気中に放出されている。


5-2●事故の恐怖と健康への脅威

原子炉の安全性についての問題には3面ある。
  1. 寿命に近づいた原子炉の危険性。(あまり問題にされていないが、認知度は高い)

  2. 安全管理の不備。(いくつかの国々の政府系企業については固有の問題であり、進行中の問題である)

  3. 現在と将来の原子炉設計の安全性について、原子力事故の深刻な結果が何を引き起こすかを提示することができないこと。

旧西側でも旧東側でも、世界中で原発は老朽化している。一般世論や政治家の関心は主として旧ソ連で設計された古い原子炉の弊害に集まっているが、経験が示す限り西側の原子炉でも老朽化の問題と兆候は現れてきている。
原子炉の寿命の中で危機的な段階は操業開始後20年頃に来ると想定することができるが、老朽化の問題がそれより早くは生じないという保証はない。世界中でおよそ200基の原子炉が2000年までに操業20年以上を迎えることになっているが、このうち半数は操業25年以上となる。しかし老朽化原子炉がもたらす安全上の問題を原子力産業は大方無視している。

チェルノブイリ事故のような原子力事故がもたらす莫大な被害を考えれば原子炉の老朽化にもっとおおきな関心を払わなければならない。だが残念なことに、古い原発に一層厳しい安全性の要求を課す代わりに、古い原発の操業続行を許すために安全要件が緩和されている 。

旧ソ連においては、ベラルーシで250万人、ウクライナで350万人、ロシアで300万人など、少なくとも900万人もの人々がチェルノブイリ事故の影響を被っている 。
この三共和国では合計16万平方km以上の土地が汚染されている 。

チェルノブイリ事故に起因する広範囲の健康障害や病気の蔓延を示す証拠を原子力産業が依然として否定し続けているものの、この事故が三共和国における甲状腺ガンの激増をもたらしたことは今や広く認められている。
甲状腺ガン協会(European Thyroid Cancer Association)会長(President)のディルウィン・ウィリアムズ(Dilwyn Williams)は放射能を浴びた数千人の子供たちが今後30年間に甲状腺ガンにかかるだろうと述べた。

老朽化原発がこのように世界中で増えることは、原発に由来する健康上のリスクが急増することを意味する。

カナダで現在相次いで原子炉が閉鎖されていることからもわかるように、チェルノブイリ事故へと結び付いた経営上及び手続き上の欠陥は西側、つまり、OECD諸国の原子力産業でも全く改善されていない。
アメリカの原子力の専門家カール・アンドニーニ(Carl Andognini)による「残酷なまでに正直な」報告書が公表されたことがきっかけとなって、安全上の理由からオンタリオ州で7つの原発が閉鎖に追い込まれた。アンドニーニはこう述べている。
「これは技術的問題ではない。経営上の問題だ」

彼が経営上の問題として引用しているのは、不十分なスタッフの訓練、最低限でしかない放射線防護、緊急事態即応体制の不備である。


5-3●核兵器:統制のきかない世界規模の拡散

プルトニウムは原子力発電の不可避の結果である。プルトニウムは使用済み核燃料に含まれているが、(地球上に)存在する最も放射能毒性が強く最も危険な物質の一つである。
一片のほこりよりも小さい1マイクログラムという量でも吸引されたり摂取されれば致命的な癌を引き起こし、テニス・ボールよりも小さい球形のプルトニウムでも数百万人を殺すことのできる核爆弾をつくる材料となりうる。

原子力技術の民生利用と軍事利用のつながりは核の時代の最も厄介な側面の一つである。
最初の未熟な原子炉が1940〜50年代にかけて建設されたのはまさに、米国やソ連、イギリスの核爆弾に使用するプルトニウム製造のためであった。原子炉が発電用に改造されたのはもっと後になってからのことである。

核技術が世界中に広がるにつれ、核兵器拡散の危険も大きくなった。軍事用であれ民生用であれ原子炉で製造されたプルトニウムを使えば核兵器をつくることができるのである。


6●IPCCの見方:「安全保障上の脅威は…途方もなく大きい」

各国の政府が指名する科学者や専門家から成る「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、国連と世界気象学会によって気候変動を調査するために設立された。その研究は次のような結論を出している。
「IPCCは、世界各国の原子力計画の現状と傾向に基づき、各地域の普及曲線(penetration curves)から導き出した予測を用いて上のシナリオをつくった。総発電量に占める原子力のシェアは、代替エネルギー源と送電線網の入手可能性を考慮して、地域ごとに算定された」

「上述の仮定と制約に基づけば、原子力発電設備容量は現在の330GWeから2100年には3,300GWeとなる。その前提は来世紀を通じて原子炉の数が10倍に増加することである。
操業する原子炉の数がこれだけ増えるとなると、使用済み核燃料と放射性廃棄物の発生量も膨大に増えることになる。IPCCの試算によると、もしこのシナリオをたどるとなれば、現在実用化されている技術を用いて2100年までに使用済み核燃料がおよそ630万トンも蓄積されることになる」

IPCCはまた再処理の可能性も分析してみた。再処理とは、燃料としてウランの代わりにプルトニウムを燃やす高速増殖炉用に、プルトニウムを使用済み核燃料から化学的に分離する過程をいう。
「処分対象となる高レベル核廃棄物の蓄積量は2100年までに約20万立方メートルになる。利用される技術の組み合わせによっては年間10万から300万kgのプルトニウムが生産され、在庫量だと5,000万から1億kgになる。
これだけ膨大な量のプルトニウムがもたらす安全保障上の脅威は途方もなく大きい。一都市を破壊するに十分強力な核爆弾を製造するのに必要なプルトニウムはわずか10kgにすぎない」


7●結 論

気候変動の軽減のために原子力が必要であるという原子力産業側の不誠実な主張は、その実態を見れば、到底認めるわけにはいかない。
その実態とは、私利私欲のための作り事にすぎず、むしろ死の灰の放射性廃棄物という背筋を寒くするような遺物を生みだし、原子力事故という大惨事を引き起こすリスクを大きくし、さらに核兵器拡散の脅威を格段に増やすのである。

また環境への影響を別にしても、原子力経済を地球温暖化対策に利用するなど論外である。原子力は化石燃料を使わない代替エネルギー源の中では最も安いものでもなければ最も低公害のものでもない。

明らかに最初の第一歩はエネルギー効率の改善を講じて需要増加を抑えることにある。需要増加を1キロワットずつでも削減していけば、どのエネルギー源であれ、発電に伴う環境汚染を減らすことができるのである。

気候変動がつきつける試練は、我々がどのような世界を子供たちに残したいのかという重要な問題を提起している。
軍事用と民生用が不可分である核技術がどの国にも幅をきかしているような世界なのか、それとも温和な再生可能エネルギー・システムによってエネルギーがつくり出され広く利用されているような世界なのか。その選択をするのは我々である。



付録●商業用再生可能エネルギー技術

風 力

風はエネルギー源として4千年に渡って利用されてきた。ペルシャの水ポンプの時代に始まり、風力は、稼働率の点でも新規設備容量の点でも新しい再生可能エネルギー産業の中で最も成功した部類に入る。
この技術は、アメリカの農場で使用した風車のような複数翼の羽根車(ローター)をもつものから、送電に適するように滑らかな三翼式羽根車をもつものへと改良されてきた。

飛行機の翼が空気中を前進することによって揚力を生み出すことができるのと同じように、風力タービンもまた、その翼のまわりに生じた揚力を利用して羽根車を回し、空気の流れからエネルギーを引き出す。
現在1.5MWの風車が入手可能であり、風力発電地帯の総設備容量は1996年には6,500MWにのぼった。比較的高かった設備費用の問題が清潔で持続性のある風の存在によって解決され、また景観や騒音、土地利用上の制約が回避できる所では、大規模な風力発電地帯の操業が増加することが予想される。

太陽光

我々が一日に化石燃料と原子力によって生産するエネルギーの1万5千倍もの量のエネルギーを、太陽は地球に降り注いでいる(ボイル、1996参照)。
PV(太陽光発電)システムは既に10億ドル産業となり、1996年には総設備容量80MWp以上の太陽電池を出荷している(11億2千万米ドル)。

太陽電池は、ケイ素の細片に少量の他の元素を添加したものを原料とする。このような不純物の添加により、細片の片面に電子量の超過が、また反対面には電子量の過小状態が生じる。片面が反対面よりも負の電荷を強く帯びることになるので、電界が発生する。
しかし光の粒子である光子がケイ素の結晶中から一個の電子をその定位置から追い出すまでは、この電界上で動くものは何もない。放出された電子が動くと、空になった定位置が他の電子の運動を呼びこみ、基盤の両面の間を電子が移動する。その結果、二つの面をつなぐ回路を電流が流れることになる。
この技術は、現代のほとんど全ての電子機器を動かしているトランジスタの技術と非常に良く似ている。トランジスタ技術よりはその開発の歴史がはるかに浅いので、PV(太陽光発電)システムの価格は下がり続けている。

現在のPV(太陽光発電)産業の大部分はメンテナンスを要しない自己完結的な発電システムであるが、1990年代後半にPV(太陽光発電)システムは、送電も可能な屋根ふき材料として改良されてきている。

太陽熱

太陽熱システムは、子供が一枚の紙に虫眼鏡で穴をあけるのと同じ仕組みを利用する。
虫眼鏡にあたるのは一続きの鏡であり、紙にあたるのは水管である。水管はボイラーの役目をする。
発電するには、ボイラーの温度を上げ、その結果生じた蒸気で蒸気タービンと発電機を動かす。太陽熱発電所はまだ主流とはなっていないが、太陽熱エネルギーの利用方法で最も普及しているのは温水の供給用である。

太陽熱による温水供給は中国を含む多くの国で普及しており、幾つかの国では太陽熱温水器がビルの標準的設備として設置が義務づけられている。

水 力

環境の点で健全な水力発電とは、既存のダムからの流水を利用する施設か、(貯水池なしで)河川の流水を利用するタービンのどちらかを意味する。千メガワットもの出力をもつ水力発電所を環境に優しいエネルギー源として売り込むような構想は、90年代には大幅な再検討を余儀なくされている。

ダム決壊による洪水のための河川系の破壊のおそれがあるという人々の抗議に、今や別の視点、すなわち水没による森林や植生の分解が(CO2よりも温室効果がかなり強力な)大量のメタンの発生と、CO2吸収源の消失をもたらすという視点が新たに加わったのである。

バイオマス(生物資源)

バイオマスとは、木材のようにエネルギー生産のために燃やすことのできる有機物質のことをさす。消費の速度が供給の更新速度に等しいなら、この循環は持続可能である。発電用に最も一般的で持続可能なバイオマスの利用方法は管理された森林における廃材の燃焼である。
似たような例としては、ブラジルの一千万台の車に利用されているような自動車用アルコール燃料供給用の砂糖栽培や、メタンや生物ガスを生産するための特殊な消化槽での有機廃棄物の利用、自家発電のみならず過剰電力を送電することもできる下水処理場でのメタン抽出などがある。

埋め立て処分場ガス(有害物質を発生させないという前提で)

有機物は分解過程でメタンをつくり出す。伝統的に家庭ゴミは有機廃棄物を多く含んでいるので、埋め立て処分場は二、三十年間は供給できるだけのメタンを埋蔵していることになる。
メタンを封じ込めるために処分場の上にふたをし、ガス抽出管を付近一帯に埋設すれば、メタンが発生したときにとらえることができ、特別に改良した1MWのエンジンで燃焼させることができる。

通常の処分場なら2から5MWの電力を供給することができる。バイオマスの場合と同様、本質的には作物の廃棄物を利用することになるので、(森林を新たに切り倒して燃やすような場合と比べると)二酸化炭素排出の点で差し引き勘定はゼロになる。
ゴミ処分場ガスは、かかる費用が5USセント未満と、再生可能エネルギー源の中では現在最も安い部類に入る。しかしながら、家庭ゴミのコンポスト化を含め、リサイクルの普及度が上がると、将来的には処分場の潜在力は衰えることになろう。にもかかわらず、今後三十年ほどは、他の技術がさらに発展するまで、処分場ガスは非常に安い再生可能エネルギー源の一つとして活躍することになるかもしれない。


[以上、1997年8月作成資料]

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