グリーンピース大賞★★★
作品番号 111
「世界のために今私たちができること」
岡部憲和 (おかべのりかず)
(要旨) 都会の街路樹の痛みに気付き、木の職人になろうと決心した作者が、森や林業者と出会い、実際の作業を体験し、そこでの地球との触れ合いを描いた作品。
<受賞者よりのコメント> 僕は、高校の3年間、森林で活動をして来ました。その結果が今回の受賞となり、大変満足しています。森林での作業は大変ですが、今後も続けて行こうと強く思っています。今回の受賞は、僕の活動に対する大きな励みとなりました。
© Greenpeace
池田 体験も豊かで、文章化能力もとても高い。エコロジーの英才教育というものがあるのだとしたら、岡部さんの活動は、そのさきがけと言えるのでしょう。ぜひこの道を究めて、将来、結果を出してほしい。彼がこれから何をするのかとても楽しみです。とてもすてきな作品です。森作りほど地球環境への貢献価値が高いものはないのに、現実の市場価値は低い。この問題を、将来どう解決したらよいのか。「一本千円にならない」という現実を、「この労働量と額面が釣り合う日の来ることを祈りました」と結んでいるのは、これから作者の取り組むべき大きな課題を表しています。
星川 岡部さんが取り組んだ問題には日本と世界の未来がかかっています。人間が一度手を入れ、最近では人手がなくて荒れ放題の二次林(人工林)をどうするのか――グリーンピースが取り組む原生林保護と両輪をなす課題ですが、この課題に答えを出すことは死活的といっていいほど重要で、そのことにこれほど若くして本気になった岡部さんに驚きと期待の混じった共感を抱きます。矛盾、希望、地球環境への責任感がよく表現されている作品でした。来年は生物多様性が鍵となる年でもあり、この作品こそ大賞にふさわしいと思います。
優秀賞★★
作品番号 113
「僕と参政権」
李 珍京 (イ・ジンギョン)
(要旨) 在日韓国人に参政権がないという日本における人権侵害の現実を在日韓国人の立場から綴った作品
© Greenpeace
池田 現実のヒリヒリとした切実感が伝わってくる素晴らしい作品でした。李さんは在日2世なのですね。「日本では政権交代が行われた。アメリカでは黒人の大統領が誕生した。そうならば僕たちも考え方を変えるべき時期がきているのではないだろうか。」と李さんは書いています。マジョリティとマイノリティの問題を見据え、少数の人が犠牲になるのは間違っているという基本的な事が、ごく短い文章の中に端的に表現されていました。そして、立場の違う母親への理解にも打たれました。最後を「幸せになるつもりです」と結んでいます。こんな美しいことばに出会うのは希なのではないでしょうか。作者のきれいな心が単刀直入に伝わってきました。
星川 東アジアの未来を見た気がしました。日本と朝鮮半島や中国、そして現在と未来の「架け橋」となる人の初々しい覚悟が、この作品に強く表れています。文章は短いけれども、読後にどっしりと重いものを残します。世代と差別という問題がこの短い文章に凝縮され、「日本の国を良くする事に参加したい」から「日本政府に参政権を要求したい」という真情が、本当の多元社会への幕開けを告げるようです。
優秀賞★★
作品番号 22
「川柳で平和を」の5作品のうちのひとつ
門脇かずお (かどわきかずお)
ホタル舞う、百年先もきっと舞う
松田ひろむ 川柳とあっても俳句として読める、あるいは呼んだほうがいい句が多かった。この作品もそのひとつ。地球を「百年先」という捉え方をし、「きっと舞う」として、さわやかな決意となっている。
優秀賞★★
作品番号 18
「"ハンディ"と共に」
浜野伸二郎 (はまのしんじろう)
(要旨) 幼時に先天性脳性小児麻痺と宣告された作者 の58年間の体験と、"障害者"への差別と偏見に抗する闘いの記録。
池田 「"障害者"と"健常者"の間に百メートルの溝があるとしたら、"健常者"に埋めて欲しいと一方的に呼び掛けずに、"障害者"自身も汗を流し、両方から埋めていけば半分の年月で済むことになります」という、なんだか横着みたいな言い方がとてもすてきです。文章表現としては達成度に不足があるかとも感じましたが、これを言いたいという覚悟と、それを表現するセンスが、そういう平凡な尺度を蒸発させてしまっていると思います。
星川 障害をもちながらも現実を引き寄せ、築いていく力の強さとしなやかさが伝わってくる作品です。物理的・心理的バリアなど、チャレンジの対象は大きく、闘いに休みはないにもかかわらず、作者の非常にバランスのとれたものの見方、社会への柔軟性に感服しました。悔しさも山ほどあるはずなのに、この人の明るさはいったいなんだろうと思わず心を動かされてしまうところに、作者の強みがあるのではないでしょうか。最愛の奥様とお二人に贈るつもりで賞を差し上げます。
