2002年8月28日付

写真展 “EXPOSURE―企業犯罪の肖像”
グリーンピース主催の写真展、ヨハネスブルグ・サミットで開催

【2002年8月28日、ヨハネスブルグ】 グリーンピース主催による世界的に著名なマグナム・フォト所属の写真家ラグー・ライ氏(1)の巡回写真展が、環境サミットの開催地ヨハネスブルグでサミットの会期に合わせて開催されている。写真展は、企業による環境破壊を食い止めるため、各国政府に対して企業の説明責任と補償義務に関する国際的合意を確立することを求めることを目的としている。

“EXPOSURE−企業犯罪の肖像” と題されたこの写真展は、1984年インド、ボパール市で起こった人間と環境の悲劇についてのたぐいまれな眼識を提供している。1984年12月、米ユニオン・カーバイド社のボパール殺虫剤工場で爆発事故が起こり、有毒ガスが大気に放出された。この大惨事は今でも歴史上最悪の企業犯罪とされている。

「ボパールの惨事は、企業が人間の最低のルールを守らないということを、他のどの災害事故よりも明確に示す事例です。また、この惨劇は企業の犯罪行為から市民の健康と生活を守るということに失敗した政府の恥ずべき姿をも映し出しています」 グリーンピース・インターナショナル、ヴォン・ヘルナンデス

今日までに、2万人が事故によって放出された致死性ガスによって亡くなった。 さらに、被害は新たな世代の生命をも脅かしている。 生き残った15万の人々は慢性的な病に冒されているだけではなく、事故によって汚染された地下水を飲料水として生活している。史上最悪の企業災害を起こした米ユニオン・カーバイド社のとった対策とは、工場を放棄し、生存者にわずかの補償金を払い、大惨事を引き起こした責任を引き受けることを拒否することだった。 惨事から18年、放棄されたボパールのユニオン・カーバイド工場には、今でも有害廃棄物や廃物となった殺虫剤が撤去されずに山のように積まれたままになっている。

2001年ユニオン・カーバイド社はダウ・ケミカル社に買収合併され、それによってダウ・ケミカル社は世界最大の化学企業になった。合併とは資産と共に負債も引き受けるということである。 しかし、ユニオン・カーバイド改めダウ・ケミカル社はボパールで引き起こした大惨事の責任をとる姿勢をみせてはいない。

ボパール大惨事の被害者の医療支援や救援をしているサンバヴナ・トラスト・クリニックの創設者のサティアナス・サランギさんは語る。「これら1枚1枚の写真は、ダウ/ユニオン・カーバイドのような犯罪企業組織に代表される、企業の欲深さと悪意に対する証言です。また、これらの写真は被害者と正義を隔てる距離がいかに遠くなってきているかを、私たちに思い起こさせるものでもあります。」

今回の展示にはライ氏の写真と共に、世界から集計した化学企業、林業、採掘業、遺伝子工学、原子力企業、石油企業などによるこれまでの環境汚染の実態を詳しくまとめたグリーンピースのレポートが背景資料として提示されている。(2) また、チェコ共和国のスポラナ(3)という化学企業の所有するダイオキシンに汚染された工場が最近、ダイオキシンに汚染されたまま洪水被害に見舞われたケースなど、現在も継続中の有害物質災害も含まれている。

グリーンピースのレポートには、企業が事故の重要性を軽く見せる表現を使って、刑事・民事訴訟を逃れてきた実態が示されている。 また、レポートからは、市民の健康を守る究極的な責任を負った政府が企業に対して法的措置を行使することと、説明責任を果たさせることの必要性が見えてくる。

ボパールの生存者たちでつくられた組織とグリーンピースは、ダウ・ケミカル社に対して工場の後始末をすること、被害者に長期間の治療を提供すること、第2世代、第3世代被害者への医療支援と経済的補償を拡大適用すること、汚染された水に頼って生活をしている人々にきれいな水を供給すること、そして責任者を処罰することを求めている。(4) これらはみなアメリカ国内では法律によって義務づけられていることである。

写真展スライドショウ
 パート1 回避できた惨事。惨事直後と、その影響
 パート2 地元の人への破壊的な影響は、18年後の今も続いている
 パート3 被害は続く。でも人々は黙っているわけではない。ダウ社は「ボパールをもとどおりにしろ」とする要求に耳を傾けるか?

お問い合わせ:
グリーンピース・ジャパン
東京都新宿区西新宿8-13-11NFビル2F
電話03-5338-9088 FAX 03-5338-9817
広報担当:城川桂子

関連ページ
ヨハネスブルグ・サミットサイト
インド、ボパールの工場での化学物質拡散事故の調査結果発表(1999年12月)


(1) ラグー・ライ、1942年生。30年以上に渡って活躍を続けている世界的な写真家。1993年米国の年間最優秀写真家賞を受賞。ライ氏はまた、報道・ドキュメンタリー写真の分野において過去50年以上最高峰の地位を保ちつづけている写真エージャンシー、マグナム・フォトの20年以上の会員。
ガス漏出事故発生から数時間後にボパールに到着し、騒然とした雰囲気のなかで死者が埋葬、火葬されてゆき、病院が数千人の患者で溢れかえっている光景を目の当たりにしたライ氏は、大惨事を目撃しているのだと感じた。

(2) 「企業犯罪:企業の説明責任に関する国際的協定の必要性」レポート ダウ、バイエル、ICI,シェル、ソルヴェイ、モンサント、アヴェンティス、エクソン、トータル・フィナ、などの企業による環境に対する犯罪的行為が行われているブラジル、インド、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン、ペルー、パラグアイ、英国、米国、日本、フランス、南アフリカ、ロシア、スペイン、フィリピン、イスラエルなどの実態を報告している。レポートのなかでグリーンピースは各国政府に対して、人権、食料統治権、安全で持続可能な開発を企業に守らせるために「企業責任に関するボパール原則」の導入を求めている。「企業責任に関する10か条」は企業活動から派生した損害の補償に加えて、国境を越えた国際的共有財産への損害、人権の擁護、市民の参与と知る権利、食料統治権の保護、予防原則の実施、環境と人間を保護するための最も厳格な基準の適用、過度な企業圧力の排除、安全で持続可能な開発の促進、が含まれている。
レポート要約(日本語)

(3) チェコ共和国の化学企業、スポラナは水銀とダイオキシン汚染によって環境に危機をもたらしている。民間と国の共同で経営されているスポラナは、直接・間接被害者への補償について語ることを避けており、敷地内の汚染排除のための包括的対応策をとることも拒否している。スポラナの塩素と塩化ビニールの製造は、今回の洪水でもその安全性が疑わしいことが証明された。事実、塩素の漏出事故は3回も起こった。

(4) グリーンピースはAaCcTt−Action Against Corporate Crime and ToxicTerrorという国際的なNGOの連合に参加している。構成組織はBhopal GasAffected Women Stationery Workers Association「ボパールガス被害にあった政府出版局の女性労働組合」、Bhopal Gas Affected Pensioners Association「ボパールガス被害にあった年金生活者組合」、Bhopal Group for Informationand Action「情報とアクションのボパール・グループ」、National Campaignfor Justice in Bhopal「ボパールに正義を求める全国キャンペーン」、TheOther Media「ジ・アザー・メディア」、CorpWatch「コープ・ウォッチ」


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