一面真っ白に広がる氷原、そしてちょこちょこと歩くペンギン。人間の開発が及ばない最後の秘境として知られ、多くの人が魅了される地球の最南端。その壮大な美しさは「想像を絶する」と言われます。
しかし、その南極も地球温暖化や海洋汚染の影響を受け、その生態系が危機にさらされています。
南極では、地球温暖化のために過去50年間に約2.5度平均気温が上がったとされており、その影響で、クジラやペンギンなどの餌であり南極の食物連鎖の要となるオキアミも減少していると言われています。注
このような状況を受けて、南極の生態系を守ろうとする声は、以前にも増して高まっています。1994年にIWC(国際捕鯨委員会)により指定された南極クジラ保護区の強化を求める声もその一つです。
しかし、このような国際的な南極の生態系保護の流れに逆行するように、日本は世界で唯一、このクジラ保護区内で、絶滅危惧種に指定されているナガスクジラを含め約1,000頭のクジラを捕殺しようとしています。調査目的を掲げ て、絶滅危惧種を多数捕殺する例は世界には他にありません。
また、この捕鯨は、私たち日本人の税金約10億円を投入して行われていますが、これらの事実は私たち日本人にはあまり知られていません。このページを読んでいるあなたのお金も南極の絶滅危惧種の捕殺に使われているのです。
南極で行われているこの捕鯨は、当初、絶滅危急種のザトウクジラ50頭を捕殺予定でしたが、海外からの圧力にあいその計画を取り下げています。
「科学調査のために捕殺したクジラは有効利用しなければならない」(国際捕鯨取締条約8条)という規定から、日本政府は、「あますところなくクジラを利用している」、と主張していますが、今回の捕鯨では、グリーンピースの現地ボランティアにより、以下のような報告がなされています。
「日新丸(船団の母船)のうしろにいたため、解剖後の、鯨の内臓(腸らしきもの)、鯨の皮などが、海面にプカプカと流れてきていた。」 (12月22日南極より)
これは「あますところなく」という日本政府の言い分と食い違っているばかりか、クジラの内臓を海洋投棄することは、1997年に日本も参加した「環境保護に関する南極条約議定書」の精神に反します。
「RESEARCH」(調査)と大きく書かれた船が日新丸です。この船は、実際には鯨肉の加工船であり、クジラはこの船上で解体、箱詰め、冷凍され、日本市場での販売にそなえられます。また捕鯨船に給油に来る船に貨物として、鯨肉を移し、日本に運んでいます。つまり、調査という名目で、この巨大な船に入らないだけの鯨肉をここで加工して日本に運んでいるのです。
グリーンピースは現地に赴き、全世界に南極の生態系保護のためにクジラ保護区の意義を尊重するよう求めるとともに、現地で行われている絶滅危惧種を含む捕鯨の実態を映像等を通じて知らせていきます。
注※2004年11月4日付けの英国科学誌「ネイチャー」に掲載(Nature 432, 100-103 (04 November 2004)。英国南極調査所やカナダ、南アフリカなどの共同研究チームはナンキョクオキアミが1970年代から80%近く減少しているという解析結果を発表。研究チームはナンキョクオキアミを食べるクジラやペンギンなどに影響が出る可能性があるとしている。