佐藤の被告日記
17 November
2009

事業仕分け作業で調査捕鯨への融資断たれるか?

11月13日、行政刷新会議の事業仕分けにより、調査捕鯨の実施主体である財団法人日本鯨類研究所(鯨研)へ多額の融資を行っている財団法人海外漁業協力財団の基金について、「(平成)22年度所要額を除いて国庫に返納」との判定が出ました。

今回の事業仕分けでは、調査捕鯨への融資に直接切り込むことはありませんでしたが、その融資元の基金が事業仕分けの対象になったことで、いままで厚いベールに隠されていた調査捕鯨へのカネの流れが明らかにされるでしょう!

海外漁業協力財団の貸付事業基金は、22年度だけで調査捕鯨を含む水産事業に約108億円の融資を予定しています。しかし、事業仕分けワーキンググループ3の仕分け人は全員一致で「22年度所要額」を除きすべて国庫返納と判断を下しました。2008年は265億円の融資を実行して、返済額が92億円。今年度も予想では179億円の融資で、返済額がたったの74億円。どう考えても、毎年むちゃくちゃな融資をしていることがわかります。そしてこの融資に含まれる主要なものとして、前回のブログでも触れたような目的に現実性のない日本の調査捕鯨(南極海と北西太平洋)があるのです。税金のムダづかいを厳しく審査する鳩山新政権の賢明な判断が望まれます。

そのほか、仕分け作業の中で海外漁業協力財団への8代も続いている天下りが厳しく指摘されました。 質問は仕分け人の蓮舫氏、海外漁業協力財団の役人は返答にしどろもどろでした。

(以下、仕分け作業より)
質問: もうひとつの海外漁業協力財団ですが、私はおんなじ構図が大日本水産と同じようにあると思っているんですね。こちらにおられる国家公務員の再就職者はどのポジションで何人ぐらいおられますか。

返答: 3人おられます。1人は理事長でございます。もう一人は専務。もう一人が常務。間違ったら訂正いたしますが、そういったことでございます。

質問: 理事長は何代続いて再就職の方ですか。

返答: 理事長は先ほど言いました6代よりは……8代でございます。

質問: どんなすばらしいスキルを持っているから8代続くんでしょうか。誤解のないように言いたいのですが、能力のある人だったらそれこそ引っ張りだこでしょうし、再就職もいっぱい選び放題だと思いますが、あえてどうして水産庁の関連の方が水産庁の所管の基金残高800億もあるところの団体に再就職をするのか。何を持っておられるんでしょうか。

返答: これはあのー、できたのが48年なんですが、先ほど言ったように、民間の機関でやっていただけなかったんで……中略(しどろもどろ)……そういった経歴が評価をされて、財団として採用されたのではないかと思います。

(2009.11.13. ワーキンググループ3のネット配信より書き起こし)

調査捕鯨への融資がこの海外漁業協力財団の融資に占める割合は大きく、その基金自体が22年度の必要額を除いて国庫返納というわけですから、外交問題ともなり国益にかなっていない調査捕鯨事業への融資の必要性を、行政刷新会議の本会議や財務省の予算編成の場で正しく判断してほしいですね。

※事業仕分けに関するグリーンピースの英文のプレスリリースが海外メディアに取りあげられました。
Silobreaker - Funding cuts could end 'research' whaling
Infonews - End of Japanese whaling may be in sight
New York Times - Japan's Budget Review May Rein in Whaling
Examiner.com - Money woes rather than ethics may curtail Japanese whaling
Wildlife Extra News - An end to Japanese whaling?
WAtoday - Japan's whaling fleet facing cutbacks
Environment News Service - Japanese Government Funding Cuts Could End 'Research' Whaling
CDNN - Japan Budget Cuts May Harpoon Whaling


Posted by jsato at 14:39
12 November
2009

行政刷新会議の見直し基準に調査捕鯨をあててみる その1

「調査捕鯨」は水産庁の"天下り""利権"のショーケース (6)

昨日から行政刷新会議の事業仕分けがはじまりました。

ここでどこまで税金のムダに切り込めるのか、とても興味深いところです。さて、この事業見直しの作業ですが、行政刷新会議のホームページに「事業見直しの視点(案)」としてその見直し基準が10月22日に発表されました。
(内閣府)事業見直しの視点(案)

これによると、その基準は大きく分けて以下の4つ。
1.事業目的が妥当であるか、財政資金投入の必要性があるか
2.手段として有効であるか
3.手段として効率的であるか
4.限られた財源の中、ほかの事業に比べて緊要であるか

せっかくですので、この基準にあわせて「鯨類捕獲事業」いわゆる「調査捕鯨」事業のムダを順番に考えて見ます。

まずは1の「事業目的が妥当であるか、財政資金投入の必要性があるか」から――。

「鯨類捕獲事業(調査捕鯨)」の最終目的は、1986年に凍結された「商業捕鯨」の再開です。しかし、現在の「調査捕鯨」の主形態である大規模な船団を必要とする商業捕鯨について、以前の中核企業だった水産大手のマルハニチロホールディングス、日本水産、極洋の3社は、たとえ商業捕鯨が解禁になっても捕鯨事業に再参入しない方針をすでに明らかにしています。

さらに、商業捕鯨再開には国際捕鯨委員会(IWC)において4分の3以上の得票が必要ですが、昨年のIWCではクジラの保護を支持する国が45カ国に対して捕鯨を推進する国は36カ国にすぎず、商業捕鯨再開のために4分の3以上の票を確保するには、捕鯨推進の国が新たに約100カ国IWCに加盟し、議決に参加する必要があります。言い換えると、日本の調査捕鯨が目的とする商業捕鯨はまったく実現不可能であり、実際、「調査捕鯨」がつくりだす硬直状態は日本のためになっていない税金のムダづかいといえます。

次回は見直し視点2の「手段として有効であるか」について書く予定です。

「だれがホントにクジラ肉を盗ったのか」ウェブページのNewコンテンツ「調査捕鯨は税金のムダづかいと天下りの温床」もご覧ください!
調査捕鯨は税金のムダづかいと天下りの温床


Posted by jsato at 17:39
14 October
2009

鯨研の興味深い動き ― “駆け込み”で天下り隠し?!

「調査捕鯨」は水産庁の“天下り”“利権”のショーケース (5)

今回は、他の水産庁所管の天下り公益法人を取り上げようと思いましたが、前回のブログで財団法人日本鯨類研究所の天下りを指摘した後に、興味深い動きがありましたのでそのご報告です。

まず、前回のブログで紹介した専務理事の中山博文氏が鯨研役員から姿を消しました。

9月15日以前の鯨研役員表(PDF)

9月16日以降の鯨研役員表 (PDF)

現在は、専務理事が不在のようです。

さらに、役員の給与規定も変更されています。この改訂で理事長が年額90万円くらい、専務理事が87万くらい減額されています。

9月15日以前の鯨研役員給与規定(PDF)

9月16日以降の鯨研役員給与規定(PDF)

民主党政権が誕生してすぐに、このように天下り役員を減らしたり、高額給与の減額をしたりすると、「今まで悪いと思いながらも続けていました」と表明しているような気がします。

“調査捕鯨”自体が「商業捕鯨の再開」という元捕鯨企業も望んでいない非現実的な目標を掲げて続ける「無駄な公共事業」の典型のようなものです。しかも、事業は借金の返済すらできない赤字事業。大規模なダムが中止になるこのご時世に、国内の水産業界にとって不必要な“調査捕鯨”の見直しは直ちに手をつけるべき課題ではないでしょうか。


Posted by jsato at 19:27
30 September
2009

「渡り」給与が7年間で合計1億1,000万円!

「調査捕鯨」は水産庁の“天下り”“利権”のショーケース (4)

 

日本鯨類研究所の天下りと補助金

 

「調査捕鯨」の実施主体は、財団法人日本鯨類研究所(以下、鯨研)ですが、今回はこの鯨研の天下りについてご紹介します。

 

この研究所の役員名簿を見ると、理事長が元水産庁次長の森本稔氏であることがわかります。森本氏は2000年に水産庁における2番目の役職である水産庁次長を退職し、(社)漁業情報サービスセンター会長理事に天下り、さらに(財)海洋生物環境研究所理事長を経て鯨研理事長へと「渡り」を繰り返し、高額な退職金を得てきた元水産官僚です。

 

日本鯨類研究所の役員名簿

http://www.icrwhale.org/YakuinList.pdf

 

森本氏は、鯨研理事長に就任する前の2団体の「渡り」で給与として7年間で合計11,000万円、さらに退職金として合計約1,900万円を受け取っていると見られます。そして、現在の鯨研理事長を3年務めて退職すれば、そのうえ給与として約4,000万円、退職金として約1,200万円が支給されることとなります(それぞれの団体掲載の給与規定より概算)。

 

鯨研理事長就任前に森本氏が「渡った」2団体も自らが所属していた水産庁から補助金が支給されている公益法人ですので、典型的なひも付き天下りといえるでしょう。

 

平成20年度においては、(社)漁業情報サービスセンターの年間収入92千万円の約58%にあたる54千万円が補助金でした。

 

▼補助金等概算報告書 漁業情報サービスセンターに54千万円!

http://www.jafic.or.jp/jafic/report2009/20meisai.pdf

 

また、(財)海洋生物環境研究所の年間収入約19億円のうち、補助金は約51%にあたる約98千万円でした。

 

▼(財)海洋生物環境研究所の資料

http://www.kaiseiken.or.jp/disclose/disclose.html

 

いずれも収入の50%以上が補助金で占められているひも付き公益法人です。

 

 さらに、鯨研に3名在籍する常勤理事の一人であり専務理事である中山博文氏も、水産庁水産庁増殖推進部研究指導課海洋技術室長を退職し、独立行政法人水産総合研究センターさけますセンター所長を経て(水産庁から直接さけますセンター所長に就任したかは不明)、鯨研の専務理事となっている「天下り」・「渡り」官僚です。

 

 ちなみにこの中山氏は、先日ご紹介した大日本水産会の理事でもあります。

 

▼大日本水産会の役員名簿

http://www.suisankai.or.jp/daisui/zaimu/new_pdf/yakuin.pdf

 

次回も、別の水産関連公益法人の天下りを紹介します。


Posted by jsato at 10:11