調査捕鯨船団船員がクジラの肉を横領しているとの内部告発に端を発した事の経過を、横領告発の時点前後から2009年3月までの、出来事、関係者の発言、おもな新聞記事などにより構成しました。
  グリーンピース/グリーンピース・ジャパン   農林水産省/水産庁   日本鯨類研究所/共同船舶
2008/5/8 水産庁 遠洋課・成子隆英課長
「商業捕鯨時代に、船員が(鯨肉を)お土産として持ち帰ることがあったみたいな話を聞いたことがあるが、そういうことって今の調査捕鯨では基本的にはない」と、グリーンピース・ジャパンにコメント。
2008/5/15以前 共同船舶 調査団石川創・鯨研調査部次長は「お土産は商業捕鯨時代からの慣例で、船上で料理するのと同じ扱い。問題ないはずだ」と説明。「お土産として渡したものだから売ってもとがめだては難しいが、むやみに売り飛ばすようなことはするな、あらぬ疑いをかけられるようなまねはするなと乗組員には言っている」と話す。(朝日新聞2008年5月15日朝刊)
2008/5/15以前 水産庁 遠洋課・高屋繁樹課長補佐
「大量に持ち帰ったとすれば商売と疑われても仕方がない。土産も無料でということはあり得ない」との朝日新聞の取材にコメントを発表。(朝日新聞2008年5月15日朝刊)
2008/5/15
10:00-
グリーンピース・ジャパン
記者会見を行い調査捕鯨船の乗組員による鯨肉横領行為について発表。プレスリリース
告発レポート「奪われた鯨肉と信頼 - 『調査捕鯨母船・日新丸』での鯨肉横領行為の全貌」を発表。
2008/5/15
13:30−
グリーンピース・ジャパン 星川・佐藤の両名、東京地方検察庁へ調査捕鯨船乗組員の鯨肉横領を告発。
2008/5/15
14:00-14:30
農林水産省

記者会見で実態調査を明言 (以下要約) 
・水産庁、日本鯨類研究所、共同船舶に事実関係を調査する。
・鯨肉の転売は妥当ではない。
・数キロ(グラム)の範囲なら乗組員が費用負担をせずに持ち帰っても特段問題ない。
・転売や大量の肉を隠して宅配便で送ることは通常のお土産という範囲を超えている。費用負担などの明確な処分が行われていないという事実が明らかになれば、しかるべききっちりとした処理をしなければならない 。
(白須農林水産事務次官、記者会見での発言)
プレスリリース

2008/5/15 日本鯨類研究所 「乗組員に対し土産として鯨の肉を配る習慣は古くから続くもので、国からも『問題はない』と言われている。土産として渡す鯨は1人当たり10キロ足らずにすぎず、数百キロのまとまった肉を横流しすることなど不可能だ。土産以外の、市場に流通させる肉については厳重に管理しているうえ、船の中は狭いため、個人で大量の肉を保管できるスペースなどない。また、土産として配った鯨肉についても、市場に流さないよう乗組員には文書で通達している」とのコメントを発表。(NHKニュース 5月15日)
共同船舶 「乗組員らは1人最大約10キロの土産のほか、有償で同約3.5キロの鯨肉の持ち帰りが可能。ほかの乗組員が購入しなければその分も買えるため、1人二十数キロを持ち帰ることもあり得る」
「鯨肉を自宅に送ることは社内規定で認められている」(産経新聞) (日経新聞夕刊)
2008/5/16 朝日新聞 鯨「10キロは土産」 船会社、説明変える
共同船舶によると、土産はベーコンの原料となるウネスという部位8キロと赤身2キロほど。土産として全乗組員に各10キロを無料で渡す慣行がある。調査団の乗組員は約250人で、計2.5トンになる計算。さらに1人あたり約3キロは有償で買える。買わない人の分を別の人が買うこともできる。(要旨)
2008/5/17 西濃運輸 青森署に遺失物届けを15日提出したが、同署は遺失物ではないとして受理しなかったため、同社は16日に被害届けを提出した。(東奥日報 5月17日 要旨)
2008/5/19 グリーンピース・ジャパン 西濃運輸に対し、謝罪文を送り鯨肉横領の全容究明の調査協力をお願いする。
2008/5/20 東京地方検察庁 星川・佐藤両名による横領鯨肉の告発を受理。調査捕鯨関係者による鯨肉横領、正式調査へ。
2008/5/20 グリーンピース・ジャパン 横領鯨肉の証拠品確保についての声明文を発表。プレスリリース
2008/5/21 東京地方検察庁 確保されていた鯨肉を横領の任意の証拠品として受理する。プレスリリース
2008/5/22 グリーンピース・ジャパン 日本外国特派員協会にて記者会見。外国メディアから「告発レポート」にあったクジラの癌や鯨肉の投棄などの問題の規模や影響などについて活発に質問があり意見交換が行われた。
2008/5/26 グリーンピース・ジャパン 佐藤と鈴木は、彼らの調査活動の詳細を記述した上申書を東京地検と青森署へ提出。
2008/6/20 青森県警・警視庁公安部 グリーンピース・ジャパンの職員2人を逮捕、事務所と職員自宅の家宅捜索を行う。
東京地方検察庁 調査捕鯨の鯨肉横領に対する告発を不起訴処分にする。
2008/6/21 グリーンピース・ジャパン 「逮捕と家宅捜索は不当で不要」と記者会見で主張。プレスリリース
グリーンピース 世界中でグリーンピース・ジャパン職員の即時釈放を求めるオンライン署名開始。
北海道新聞 <社説>「調査捕鯨」も問われる
二人の逮捕など強制捜査まで必要だったのか、疑問が残る。過去にさかのぼった徹底調査が必要だ。今回の持ち出し行為の違法性については、刑法の専門家でも見解が分かれている。(要旨)
2008/6/22 被告人弁護団 青森簡易裁判所の勾留決定に対し不服申し立て。プレスリリース
グリーンピース 募集開始後24時間で、世界各国からあつまった、グリーンピース・ジャパン職員2人の釈放を求める署名が5万通を超える。
2008/6/23 青森地方裁判所 勾留決定不服申し立てを棄却。プレスリリース
愛媛新聞 <社説>グリーンピース 調査捕鯨の全容を明らかに
船会社と監督官庁の水産庁は、調査捕鯨の全容と持ち帰った鯨肉の流通先を、乗組員の土産分も含めて徹底的に調査し、すべて明らかにすべきだ。 調査捕鯨が税金によって実施されていることを忘れてはならない。(要旨)
2008/6/24 IWC(国際捕鯨委員会) チリの子供たちのイベント「クジラを守って、二人を返して!」
グリーンピース 世界各国からあつまった、グリーンピース・ジャパン職員2人の釈放を求める署名が10万通を超える。
2008/6/25 グリーンピース IWC総会でNGO代表の一人として発言、クジラの保護とホエールウォッチングのような持続可能な利用を訴えた。プレスリリース
2008/6/26 オーストラリア国会 連邦上院でクジラ肉横領と2人の逮捕の取り扱いに疑問を呈する決議が全会一致で採択される。
グリーンピース 世界各国から福田首相へのグリーンピース・ジャパン職員2人の釈放要求が15万通を超える。
2008/6/28 WATCH (サミット人権監視弁護士ネットワーク ) 「グリーンピース・ジャパン2名の不当な勾留に強く抗議します」との声明を発表。サミット人権監視弁護士ネットワーク
2008/6/30 グリーンピース 世界14カ国の日本大使館前でグリーンピース・ジャパン職員2人の釈放を要求する平和的な抗議活動がおこなわれる。Asahi.comなどでも報道
2008/7/1 青森簡易裁判所 勾留理由開示。法廷にて、グリーンピース・ジャパン職員2人の10日間の勾留延長が決定。プレスリリース
グリーンピース・ジャパン 勾留理由開示法廷でグリーンピース・ジャパン職員2人が意見陳述。
佐藤潤一の意見陳述全文。
鈴木徹の意見陳述全文。
2008/7/2 市民セクター クジラどーなの?公開討論会が開催される
2008/7/3 グリーンピース 世界各国からあつまった、グリーンピース・ジャパン職員2人の釈放を求める署名が20万通を超える。
各国日本大使館前でのグリーンピース・ジャパン職員2人の釈放を要求する平和的な抗議活動は合計34カ所に。
2008/7/4 市民セクター 市民活動の自由を脅かすグリーンピース不当逮捕事件に抗議する共同声明に72名が署名し、福田首相宛てで内閣府に提出。
2008/7/6 東奥日報 <社会面>「弾圧か犯罪か、グリーンピース幹部逮捕」
二人の釈放を求め、福田康夫首相と高村正彦外相宛に、インターネットを使った署名活動を展開、世界中から集まった署名は4日現在で23万通。他の市民団体なども「不当逮捕と強制捜査に強く抗議する」と署名を呼びかけたり、抗議声明を内閣府に送付するなど、動きが広がりを見せている。(要旨)
2008/7/7 日刊ゲンダイ 「グリーンピース鯨肉窃盗事件の怪しい幕引き」
畝須の末端価格はキロ2万円以上で、加工前でもキロ5000〜1万5000円もするという。持ち出されたのは1箱(23.5キロ)だが、乗組員はお土産用として4箱も自宅に送る手続きをしていた。ざっくり100万円ものお土産を自宅に送ったことになる。
2008/7/10 英国議会 鯨肉横領スキャンダルを非難し、2人の勾留を憂慮する声明を発表した。英国議会
2008/7/11 青森地方検察庁 グリーンピース・ジャパン職員2人を窃盗および建造物侵入の疑いで起訴。プレスリリース
2008/7/16 青森地方検察庁 グリーンピース・ジャパン職員2人は、6月20日の逮捕から計27日間身柄を拘束され、7月15日の夜中に釈放された。グリーンピース・ジャパン事務局長の星川淳は、「南極海の貴重な生態系を守るためにも、また日本の公益を守るためにも、捕鯨関係者によって隠蔽されている鯨肉横領スキャンダルの全容解明を求めていきたい」と語った。プレスリリース
2008/7/18 日本鯨類研究所 「鯨肉をめぐる問題についての報告書」を発表。その中で下船時の乗組員への土産用として1人当たり塩蔵ウネス約8kgと赤肉小切約1.6kgを配布してきたと説明する。日本鯨類研究所
グリーンピース・ジャパン グリーンピースは日本鯨類研究所の報告書に対し声明文を発表。プレスリリース
2008/7/30 グリーンピース・ジャパン 保釈についての声明を発表。
弁護士団を介して、保釈されたグリーンピース職員・佐藤は「多くの方にご迷惑とご心配をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」と声明を発表。
声明文
2008/8/23 グリーンピース・ジャパン 調査捕鯨船・日新丸の帰港に際して、太田農林水産大臣へ要請書を提出。
(財)日本鯨類研究所と共同船舶(株)が連盟で水産庁資源管理部長宛てに提出した「鯨肉をめぐる問題についての報告書」について、内容は事実上2ページ足らずのとても報告書とは呼べない杜撰なものと指摘し、責任ある第三機関による調査が不可欠であると主張。
プレスリリース
2008/10/28 パナマ政府 「日本の調査捕鯨船団に違法船! パナマ政府が給油船の船籍を剥奪」南極海で日本の捕鯨船団に給油を行い、鯨肉を日本まで輸送していたパナマ船籍のタンカー、オリエンタル・ブルーバード号の南極海での活動が、パナマ法に違反するとしてパナマ政府は同船の船籍を剥奪した。 プレスリリース
2008/11/04 グリーンピース グリーンピース、今期調査捕鯨に対しキャンペーン船を出さないと発表。
2008年12月から翌年3月にかけて日本政府が南極海で行う予定の調査捕鯨に対し、グリーンピースはキャンペーン船を派遣するかわりに、日本で調査捕鯨の“不都合な真実”を究明する活動に注力することを発表。
プレスリリース
2008/11/17 グリーンピース 「日新丸、南極海へ向け予告なしの出航?」
日本政府の調査捕鯨船日新丸の出港に際し、グリーンピースは「調査捕鯨に税金12億?」と書かれた長さ20メートルの横断幕を広げ12月からクジラ保護区で行われる予定の捕鯨に抗議した。
プレスリリース
2008/12/09 グリーンピース 世界中の若者が調査捕鯨反対運動に参加
国連の世界人権宣言の採択60周年を迎える12月10日に合わせ、南極海調査捕鯨の見直しと、そして鯨肉の横領を追及したグリーンピース・ジャパン職員二人の公正な裁判を求める声を代表して、各国グリーンピース事務局長らが麻生総理大臣へ要請書を届けた。
プレスリリース「私も連行してArrest Me Too」
2009/02/13 青森地方裁判所 第一回公判前整理手続き(裁判官、弁護団、検察官、佐藤、鈴木が参加。非公開)
国際人権規約の議論を争点の一つとして進めていくことを決定。
2009/02/13 被告人弁護団 弁護団、「表現の自由」の保障により2人は無罪と主張 弁護団は、起訴事実について、佐藤と鈴木が起訴状に記載された時刻や場所において鯨肉を確保したことについては全面的に認めるとし、その上でその行為が国営事業での横領を告発する公益にかなう行為だったと無罪を争う姿勢を示した。
関連情報: グリーンピース・ジャパン、プレスリリース
2009/03/19 グリーンピース 鯨肉販売状況の情報不公開決定に異議申立て
調査捕鯨の副産物(鯨肉)の販売状況や(財)日本鯨類研究所と共同船舶(株)との売買契約に関する情報公開をグリーンピースは昨年より水産庁へ請求していた。開示された文書は大部分が黒く塗りつぶされ、鯨肉の部位別販売価格などが隠蔽されていた。グリーンピースはこれに対し水産庁へ異議申立てを行なった。
プレスリリース
2009/03/19 グリーンピース レポートを発表
「塗りつぶされた鯨肉横領スキャンダル――「調査捕鯨」の利権構造に迫る」
2009/03/23 青森地方裁判所 第二回公判前整理手続き(裁判官、弁護団、検察官、佐藤、鈴木が参加。非公開)
調査捕鯨関係者による鯨肉横領の有無を審議の対象とすべきと弁護団は主張、青森地裁は、この点についてさらに議論が必要と判断を保留した。
プレスアドバイザリー
2009/03/23 グリーンピース 第二回公判前整理手続き(裁判官、弁護団、検察官、佐藤、鈴木が参加。非公開) 調査捕鯨関係者による鯨肉横領の有無を審議の対象とすべきと弁護団は主張。青森地裁は、この点についてさらに議論が必要と判断を保留した。 プレスアドバイザリー
2009/04/15 農林水産省/水産庁 07年11月〜08年4月の南極海調査捕鯨に同行していた水産庁の漁業監督官も「土産」のクジラ肉を受け取っていたことがわかり、同庁は16日国家公務員倫理審査会とともに事実関係の調査をはじめた。
2009/05/15 グリーンピース 第三回公判前整理手続き ――クジラ肉横領は争点にならないという検察官の主張が退けられる。今回の手続きのなかで、裁判官は船員によるクジラ肉横領の有無について一切審理しないことは困難であるとの見解を示し、「不必要」として横領関連の証拠の開示を渋っていた検察官に対し関連する証拠開示を再考するよう促した。 プレスリリース
2009/05/29 グリーンピース 未公開映像や水産庁との電話録音やを含むビデオを発表 『クジラ肉裁判――あなたならどうジャッジしますか?』 プレスリリース
2009/06/17 グリーンピース 第四回公判前整理手続き ――「お土産鯨肉」の代金についての説明がまた変わった 検察側が開示した供述調書により、鯨研と共同船舶は従来、土産として配布されるクジラ肉については共同船舶が鯨研から「買い取った」としていたが、実際には金銭のやりとりはなく、明瞭な会計処理がなされていなかったことが明らかになった。 プレスリリース
2009/08/04 グリーンピース 第五回公判前整理手続き 今回の公判前整理手続きの焦点は、7月17日に弁護団が提出した証拠開示請求に対して裁判所が証拠開示決定を下すかどうかだったが、本日の協議までに裁判所が検討に十分な時間を確保できなかったとして、その決定には至らなかった。プレスリリース
2009/08/11 グリーンピース 青森地裁の全面非開示決定を受けて、仙台高裁に抗告 青森地方裁判所刑事部は8月10日、クジラ肉裁判の弁護団が請求していた検察側証拠に関し、そのすべてを開示することは相当ではないと請求を棄却する決定を下した。弁護団は、公平な裁判を受けるためにこれらの証拠開示は必要不可欠であるとして、青森地裁の証拠不開示決定を不服とし、仙台高等裁判所の判断を求めるべく即時抗告を行う。プレスリリース
2009/10/05 仙台高裁 仙台高裁の即時抗告却下を受け最高裁に特別抗告 弁護団は、仙台高等裁判所が9月28日付で下した証拠開示に関する即時抗告の棄却決定を不服とし、最高裁判所の判断を求めるべく特別抗告を行った。 プレスリリース
2009/11/18 最高裁 最高裁判所、特別抗告を棄却 主任弁護人の海渡雄一弁護士は、日本の司法システムはガラパゴス化していると、最高裁の決定を批判した。プレスリリース
2009/11/19 農林水産省/水産庁 調査捕鯨船団、南極海へ向けて出港 グリーンピースは国内13団体とともに調査捕鯨の中止を求めて声明発表 プレスリリース
2009/11/20 グリーンピース 第六回公判前整理手続き 証拠や証人採用に関して意見が交わされたが、最終決定に至らず。
2010/01/15 グリーンピース 第七回公判前整理手続き 最後の公判前整理手続きが青森で行われ、調査捕鯨を実施する共同船舶株式会社の幹部、捕鯨母船日新丸の船員3名、内部告発者である元船員、さらに海外の国際人権法の専門家などが証人として尋問されることが決定した。調査捕鯨の不正、そして被告人佐藤潤一と鈴木徹の行為の正当性に大きくかかわるNGOやジャーナリストの権利についても審理が及ぶことになった。 プレスリリース