質問:海洋保護区の設置に地元の漁師は反対しないのでしょうか?
回答:ロバーツ氏
反対はありますが、たいていの場合、地元の漁業が崩壊の危機にみまわれ、状況の打開策として海洋保護区が選択されます。年々海洋保護区の効果が科学的にも証明されるようになり、地元の漁業復活に大きく貢献する事例も増えています。海洋保護区に強く反対した地元漁師たちが、保護区設置後、一番のサポーターになるケースが多いのです。
質問:海洋保護区の設置にはFAO (国連食糧農業機関)との協議があると聞いていますが、どのような基準で設定するのですか?
回答:ロバーツ氏
基準は今現在、議論され開発されている最中です。FAOは近年、海の持続可能な利用についてガイドラインを発表しました。それらを海洋保護区の基準として借りることもできます。海洋保護区は総体的な生態系の回復を実現します。また、商業的に価値の高い種の繁殖場所や餌場など、貴重な海域を海洋保護区として資源回復をめざします。これらを原則として、保護区をどこに設置するかなどの基準は広く理解されるようになってきています。
回答:ピキッチ氏
ロバーツ氏が紹介したような生物学的な視点から設置される海洋保護区ですが、試験的に設置される場合は、モニタリングが容易である近場の海などに設置されることもあります。
質問:混獲について、投棄されていても他の生き物の餌になるのだから問題ではないのでは?
回答:ピキッチ氏
それでも問題であるといえるでしょう。北太平洋のヘルビットという市場価値の高い魚がトロール船で混獲されています。市場価値の高い魚をその価値を生かすように使用しないのは資源の無駄使いといえるでしょう。
質問:PNA(ナウル協定加盟国)同盟国でない国の船が、公海ポケット(周囲を各国の排他的経済水域で囲まれた公海)で漁するのをどうやって防止しているのでしょうか?
回答:ジムウェレイ氏
PNAの加盟国の船でなくてもPNAのライセンスが必要となります。PNAのEZZ(排他的経済水域)で漁をしなくても、公海ポケットで漁をしたいのならPNAのライセンスの対象となります。
質問:日本に海洋保護区は無いのですか?知床のように世界遺産として漁業と共存しながら保護されているところはあると思いますが。もし日本に海洋保護区が設置されるなら、どのようなルールに基づく必要があるのでしょうか?
回答:花岡
海洋保護区の設置条件は生態系にとって重要な産卵場や餌場などを科学的に選んでいく必要があります。世界自然遺産など今あるものをうまく使って、海洋保護区が設置できたらいいと思います。
質問:この2年間、今後の見込みを含めてMSC認証商品の傾向は上昇でしょうか、下降でしょうか?
回答:山本氏
先ほど魚の卵で1千万ピースの売り上げがあると申し上げましたが、売り上げ傾向は価格 と比例しています。欧米でのMSCの認知度があがり、また世界的な魚食ブームもあって価格が上昇しています。ある意味付加価値がついて個別の商品の販売数は減っているかもしれませんが、イオンは取り扱う水産物を持続可能で科学的に裏づけのあるものに切り替えていく方針ですので、MSC認証商品の販売量は増加することになります。
質問:和田さんのお店からMSC認証の商品を買うレストランは、メニューにMSCのロゴを載せていますか?
回答:和田氏
残念ながら、現在日本国内でMSCのロゴマークをメニューに表示できるレストランはありません。それは、レストランもトレーサビリティのCoC(加工流通過程の管理)認証を取らなくてはいけないからで、それには費用がかかります。一つのメニューのためにその費用をかけるのは難しいですし、またMSC認証付の魚種がまだまだ少ない上に、季節ごとにメニューを変えていく必要があり、それに使用できる魚すべてにMSC認証があるわけではないのです。将来、MSCロゴを載せるレストランが増えてほしいと思いますが。
質問:本来MSC認証など、国など公共の役割なのではないのでしょうか?どうして民間の会社が普及に努力しているのでしょうか?
回答:ピキッチ氏
国や公共はトップダウンのアプローチになりがちですが、MSC認証は非常に商業的で、一つの市場重視のアプローチをとった環境保護だといえます。そういう意味で、民間企業が導入や普及にリーダーシップをとるのは自然だと思います。また、アプローチの種類として、馬をトレーニングするのに「にんじんと鞭」がありますが、エコラベルはこの場合「にんじん」だといえるでしょう。商品に市場価値を付けることによって、自主的な行動を促進し、持続可能な商品が広がるのです。MSC認証の認知度は、欧米に比べ日本ではまだ低いということでしたが、日本の消費者のように海洋問題の教育が浸透し、環境保護の関心が高い国民が、今後どのように変わっていくのか興味深いです。
回答:ロバーツ氏
ヨーロッパでの現象として、エコラベルの乱立があり、消費者への情報過多となりました。どのラベルが信頼できるのか選べないのです。ヨーロッパでは今、共通のエコラベルを制定する動きになっています。厳しい条件をクリアした信頼できるエコラベルをつくためです。
質問:世界の人が今の消費量を維持したままでは、環境の回復ができないと聞きました。食べるものを減らさないと環境の保護はできないのでしょうか?
回答:花岡
確かに人口は増えていて食糧問題は深刻です。しかし、同時にたくさんの食料が無駄に捨てられている現状もあります。食べるものを減らす選択をする前に、私たちができることはたくさんあると思います。
質問:海洋保護区の有効性は7−8年前から言われていたと思います。保護区のネットワークは広がっているのでしょうか? 広がっていないならその理由は何でしょうか?
回答:ロバーツ氏
海洋保護区は、8年前に比べて大きく発展しています。2002年の国際サミットで沿岸をもつすべての国に海洋保護の目標値が設定されました。しかし、各国政府の取り組みは消極的で、目標値の最低ラインをクリアするつもりで海洋保護区の設定を考慮しているような状態です。ミクロネシア諸島が30%の海を海洋保護区にすると宣言したように前向きな国もあります。
回答:ピキッチ氏
海洋保護区は本当に効果があります。科学的にも証明され世界で認識されています。それをもっと求めていく市民の声が必要だと思います。海洋保護区の設立が緊急に必要だと。設立を検討している時間の余裕はありません。このようなシンポジウム開催などは非常に重要だと思います。
回答:ロバーツ氏
海洋保護や漁業管理の現状は、一般の人たちが思っているよりずっと進んでいないことをもっと知るべきでしょう。
質問:海洋保護区のグローバルネットワークの構築とはどういう意味ですか?
回答:ロバーツ氏
グローバルネットワークとは、離れた海域の海洋保護区がお互いに保護しあうことです。生き物の移動や繁殖など保護される区間で共有し、またまわりの漁場にも資源の増加などの影響があります。海洋保護区システムというのもあり、生態系アプローチとして海洋保護区の間を移動する生き物を保護するため、国際社会が協力して海洋保護区を管理するシステムを構築することです。
質問:MSC認証商品をもっとわかりやすく売り場で紹介している事例があれば紹介してください。
回答:山本氏
MSC認証といっても日本の魚種は非常に限られています。イオングループの中でも、ジャスコではMSC認証を自ら貼って販売することができますが、マックスバリューやマイカルではそこで加工したものに認証を貼ることはできませんが、すでに貼ってある認証済みの商品を売ることはできます。そのようにMSC認証商品(MSC商品)を並べる店が日本全国1000店以上はあります。一度、店頭で見ていただければ分かりやすいかと思います。
質問:MSC商品のアラスカサーモンと国産のサーモンと、どちらを買えば水産資源を守ることになるのでしょうか? フードマイレージの問題もありますがいかがでしょうかMSC商品のアラスカサーモンと国産のサーモンと、どちらを買えば水産資源を守ることになるのでしょうか? フードマイレージの問題もありますがいかがでしょうか。
回答:和田氏
専門家ではないので個人的な意見ですが、北海道のサケがMSC認証を取得するとも聞いています。この北海道のサケは3−4割海外に輸出されています。輸出するのにMSCのほうがいい値段がでるわけです。また、日本で養殖されたサケとその餌のフードマイレージと輸入もののサケのフードマイレージをどう判断するか、よくわかりませんが、だた、MSC認証はフードマイレージを保証するものではなく持続可能な漁業を保障するものです。 |