私たち人間の作り出した化学物質や廃棄物による環境汚染は、地球全体に広がっています。
もちろん海洋も例外ではありません。様々な有害化学物質や、原子力発電所など核施設から発生する放射性廃棄物、アルミナ工場から出る赤泥(せきでい)、廃棄物処理場や鉱山などから流出する水銀など、今もたくさんの汚染物質が海に捨てられ、流れ込んでいます。これらの汚染物質は、長期にわたり海洋に残り、海流に乗って世界全体に広がっていきます。汚染物質は魚やクジラなどの体に蓄積して、彼らの生命を脅かすだけでなく、海洋生態系全体を破壊してしまいます。さらには、私たちが食べるシーフードを通じて、人間の健康や生命も危険にさらされることになるのです。
1)有害化学物質(水銀、ダイオキシン、PCBなど)
日本は「水俣病」という、水銀による恐ろしい公害病を経験しました。水俣病は工場廃水の中のメチル水銀が魚など海の生物の体内に蓄積し、それを食べた人々や、生まれてくる子どもたちに、重い障害を引き起こしたものでした。水銀は脳や神経系にダメージを与える有害物質です。
世界の水銀汚染は今も続いています。最近ではブラジルやアフリカなどの金鉱から、大量の水銀が環境に放出されています。金鉱から出る水銀はやがて、水俣病の原因となったメチル水銀などの有害な有機水銀となって、海洋に流れ込みます。海洋生態系に入り込んだ有機水銀は、小さな生物が大きな生物に食べられるという食物連鎖をとおして、プランクトンから小魚へ、そしてマグロやイルカなど大型の生物へと、蓄積され、濃縮されていきます。食物連鎖の頂点に位置するマグロやイルカなどの体内には、時に非常に高い濃度の有機水銀が検出されることがあります。日本でも、廃棄物処理場や工場などが汚染源とされるメチル水銀によって、マグロやクジラなどが汚染されていることを理由に、厚生労働省が妊婦は頻繁にそれらを食べないようにと呼びかけています。
その他、農薬、焼却炉などに起因するダイオキシン類やPCB類などの有害化学物質汚染も海洋に広がっており、私たちが食べる魚や貝などが、安全かどうかにも充分注意を払う必要があるでしょう。一度、海洋に流れ込んでしまった有害化学物質を回収することは非常に困難です。そのため、そもそもその使用を中止していくことが重要です。グリーンピースでは、家電メーカーなどに働きかけ、有害物質の使用削減・廃止を求めています。
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2)赤泥(せきでい)
赤泥(せきでい)とは、アルミニウムの原料となるアルミナを作る工程ででる、産業廃棄物です。1972年にできたロンドン条約によって、産業廃棄物の海洋投棄は禁止されています。日本もこの条約に参加しています。ところが、日本では「赤泥」は例外だとして、八丈島沖などに投棄しています。ロンドン条約に参加している78カ国のなかで、「赤泥」を例外としているのは日本だけです。
赤泥はアルカリ性が強く、中和するために大量の硫酸や塩酸を使います。また、水銀、カドミウム、鉛、砒素など有毒物質も含まれています。この赤泥を毎年160万トン以上も海洋に投棄しています。11トン積みのトラックにして14万5000台分以上になります。これほど大量の投棄は、海を汚染し、海洋生態系に影響を与えます。グリーンピースは赤泥の海洋投棄をやめるように投棄企業に働きかけています。
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3)放射性廃棄物
仏コジェマ社の再処理工場から放出される放射性廃水。廃水のサンプルは、周辺の海水より12000倍高い放射能を含む。
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原爆を経験した日本は、世界のどの国よりも放射能汚染の恐ろしさを知っています。グリーンピースは1971年のアメリカの核実験を止めようとする市民運動の中から生まれました。当時は核実験が次々と行われ、陸と海の放射能汚染が国境を越えた環境破壊の象徴となっていたのです。それから30年以上が過ぎ、主要な核保有国の核実験は行われなくなりましたが、放射能汚染の脅威はなくなっていません。今も世界各国で原子力発電所や核燃料再処理施設が運転され、核廃棄物が次々と生み出されているからです。
ロンドン条約とOSPAR会議 によって、船舶や航空機などから海洋に放射性廃棄物を投棄することは禁止されています。しかし、フランスのラアーグ、イギリス北西部のセラフィールドなどの核再処理施設からの、放射性廃棄物の定期的な海への放出が今も続けられています。日本でも、同様の放射性廃棄物を排出する再処理工場が、青森県六ヶ所村で稼動しようとしています。
世界の海はつながっています。核廃棄物による海の汚染は、自国や近隣の国だけでなく、地球上すべての国の人々に関わる問題です。グリーンピースは、放射性廃棄物を出し続ける核燃料の使用、再処理をやめ、核のゴミを出さない自然エネルギーの利用を進めています。
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