海から獲れる魚介類は、いまも昔も私たちにとって大切な食料です。世界の人口は増え続けており、漁業の重要性は将来ますます大きなものとなるでしょう。しかし現在、世界中でマグロやタラなどおなじみの魚の資源量(生息数)が急激に減っており、長年にわたる乱獲がその原因といわれています。つまり、魚の数が自然に増えるスピードを超えて、過剰に獲り続けてしまっているのです。これは、世界を代表する魚介類消費国である日本にとってだけでなく、海の生態系にとっても非常に深刻な問題です。
ミクロネシア、フィジー、トンガなど多くの島しょ国が点在する中西部太平洋の海域には、各国の排他的経済水域(EEZ)に四方を囲まれた「公海ポケット」と呼ばれる公海があります(以下の図のオレンジ色の部分)。この4つの「公海ポケット」では、どの国も主権をもたないため国単位での管理が難しく、違法な漁業や過剰な漁業が横行しています。
グリーンピースは太平洋の生態系を守り、子どもたちやそのまた子どもたちの世代も私たちと同様おいしい海の幸を享受できるよう、違法な漁業に従事する船を摘発したり、「公海ポケット」を海洋保護区に指定する必要性を訴えたりするため、この海域にエスペランサ号を派遣して調査活動を行っています。
漁業対象となっている海の生物の多くは、世界的なシーフードブームなどの影響により、自然に生息数が増えるスピード以上のペースでの漁獲されています。このままのペースで過剰な漁業活動が続けば、今世紀半ばにも世界の水産業が崩壊すると警鐘を鳴らす科学者もいます。
FAO(国連食糧農業機関)は、世界の主要商業海洋魚種の8%が枯渇し、19%が過剰に漁獲され、52%が最大持続生産の限界または限界に近い漁獲量だと発表しています 。つまり、私たちがいま魚屋さんやスーパーの店先で見ている魚のほとんどは、このままでは近い将来姿を消してしまうかもしれないのです。
太平洋の島しょ国に囲まれている「公海ポケット」でも、フィリピンやインドネシアなどの東南アジア諸国、日本、台湾、韓国、中国といった東アジア諸国、またアメリカやスペインなどからも大型漁船が集まり、生態系に深刻な影響をおよぼす方法で漁業を続けています。たとえば、この海域での主な漁業対象種のひとつであるメバチマグロについて、2008年、この海域の国際資源管理機関である中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の科学委員会は、「乱獲状態にあり、このままでは近い将来、資源が深刻な状況におかれる」と指摘し、警告を発しています。
WCPFCは科学者の勧告を受ける形で、2008年の年次会合でメバチマグロの総漁獲量を3年間かけて3割減らすこと(2009年から)や、破壊的な漁業のひとつである巻き網漁を4つの「公海ポケット」の内の2つで禁止することなど(2010年から)の漁業管理を採択しました。
また2009年5月には、この4つの「公海ポケット」の全域を2010年内に禁漁区にする提案が、「公海ポケット」を囲む15の島しょ国などの大臣らにより合意されています。
「公海ポケット」は、メバチマグロをはじめ多くの生物が産卵したり餌をとったりする海域であるだけでなく、オサガメ、ザトウクジラ、深海サンゴなどの絶滅危惧種や希少種を含む海洋生態系を育むためにも、また太平洋の海洋環境や近海での漁業に生活をゆだねる島しょ国のためにも、かけがえのない海です。グリーンピースは、どの国も主権をもたないことから違法な漁業や過剰な漁業の規制が難しい4つの「公海ポケット」を、この海の未来のために海洋保護区に指定すべく働きかけを行っています。
海洋保護区には、保護区内で育った魚が境界を超えて湧き出すように周りの海域に広がる「あふれ出し効果」があり、海洋生態系の回復に対する好影響が各地で実証されています。つまり、「公海ポケット」を海洋保護区に指定することは、「公海ポケット」内ばかりか、周辺海域の海洋環境を豊かにし、漁場を潤していく効果もあるのです。
さらにグリーンピースは、「公海ポケット」を囲む中西部太平洋でのより持続可能な漁業のために、メバチマグロの漁獲圧の50%減や、人工集魚装置(FADs)の使用全廃といったき管理もWCPFCに求めています。
FADとは日本語では「人工集魚装置」や「人工浮魚礁(うきぎょしょう)」などと呼ばれ、魚を集めるための人工的な浮遊物のことです。マグロ類に代表される回遊魚の多くは、広い海を回遊する中で、休息地や避難場所を求めて流木など浮遊物の周りに大量に集まる習性があり、漁業対象種以外の生物や、幼魚などもたくさん集まってきます。世界の海の生態系と持続可能な漁業を守るため、グリーンピースは世界の全海域でFADの使用を全廃するようもとめています。
折しも今年2010年は、日本はCBD-COP10ホスト国でありCBD議長国です。日本政府に向け、海洋保護区のグローバルネットワークの設立に向けた強いイニシアチブの発揮を求めるサイバーアクションにぜひご参加ください!
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