27 January
2010
早朝の築地市場にて
クロマグロの国際貿易の禁止に注目が集まるワシントン条約締約国会議の開催を約2カ月後に控え、最近は水産業や魚介類の消費に関する取材を受ける機会が増えています。

先週はドイツの雑誌「STERN」の取材で、世界最大のシーフード市場である築地中央卸売市場を巡る形でインタビューに応えました。
最初の質問は、「グリーンピースのスタッフとして、あなたは魚を食べますか?」。
海外メディアからの取材でよく聞かれる質問の一つです。「No。そして日本人も食べるべきではない!」といった回答を期待されることにひっかかるのを感じながら、私の答えは「Yes。乱獲された魚を避け、資源状態の良い魚を選ぶ。魚は大好物だから今後も食べ続けたいし、子どもにも食べさせ続けたい。そのためには、私たちの世代がこの問題を解決しなくてはならない」
しばらく市場内を巡ったあと、「築地のことならぜひ!」と、普段から交流のある飯田統規氏に取材に加わっていただきました。飯田氏は東京魚市場卸協同組合の常任理事であり、江戸時代から続くまぐろ仲卸「樋長」の7代目社長(現在は会長職)で、水産資源状態の悪化について口を開く方がまだ多くない市場の中にあって、「このままではマグロは幻の魚になる」と声を大にし、業界を先導して漁業規制による資源管理の必要性を訴えている方です。今回の取材では、「巻き網」という破壊的な漁法による大規模な乱獲を指摘し、マグロの生息にとってとくに重要な海域を禁漁区型の海洋保護区とする必要性に言及。地中海や太平洋など、世界各地で海洋保護区の設立に向けて活動するグリーンピースも意を強くしました。
「樋長」8代目社長の飯田統一郎氏にもお話を伺いました。何度も聞かれている質問なのでしょう、「ビジネスはどう?」との記者からの問いに、「江戸時代から続いてきたが、このままでは自分の代で店をたたむことになる」と、重い内容をサラリ。その口調からは逆に、「そうはさせない。日本に根づく魚食の文化を後世に残していく」という決意も伝わってきました。
前回のワシントン条約締約国会議ではヨーロッパウナギ(世界のウナギの約70%が日本で消費)の保護措置が決まり、今回の会議では大西洋クロマグロ(漁獲量の約80%が日本で消費)の保護に注目が集まっています。このまま世界各地で過剰漁業が続けば、次の世代の海に、そして日本の食卓に、何が残るでしょうか。豊かな海の生物多様性を残せるよう、飯田氏のような方々と今後も活動を進展させていきたいと思います。
飯田さん、突然の取材協力に快く応じていただき、本当にありがとうございました。
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12:03
26 January
2010
沖縄県名護市長選について
1月24日夜、米軍普天間飛行場の移設問題に大きな影響を与える沖縄県名護市長選の結果が出ました。「辺野古に新基地はつくらせない」と主張する稲嶺進氏が当選。
エメラルド色に輝く辺野古の海、その海辺で日々座り込みを続けられる方々の日焼けしたたくましい顔が、このニュースを聞いてパッと頭いっぱいに浮かびました。
これまで普天間飛行場の移設先とされてきた辺野古地域では、移設に伴い新たな滑走路などをつくるため、キャンプ・シュワブ沿岸部を大規模に埋め立てる計画が進んできました。私も実際にこの海に潜りましたが、ここは天然記念物であり絶滅危惧種であるジュゴンの限られた生息地であり、また希少なアオサンゴの大きな群落があったり、6種類ものクマノミが一つの湾内に生息していたりと、とても豊かな生物多様性が育まれている貴重なエリアです。一度埋め立てて壊してしまえば、生態系を元に戻すことは簡単ではありません。
このたびの名護市長選の結果は、地元の方々の民意を明確な形にして鳩山政権に届けました。未来の世代に残したいものは基地ではなく、豊かで貴重な生態系です。政府がこの声を正面から受け止めて辺野古への基地移設計画を白紙撤回し、候補地から除外するよう願います。
国際生物多様性年である2010年。名古屋では10月に生物多様性条約(CBD)の第10回締約国会議(COP10)が開催されます。温暖化ガス削減25%の目標を掲げるなど環境立国をめざす鳩山政権に、CBDCOP10のホスト国として、いまこそ「辺野古の生物多様性を将来の世代に引き継ぐために、この海域を埋め立てるのではなく海洋保護区として守る」という強いメッセージを発信してほしいと思います。これだけ強く打たれた鳩山政権の鐘、地元の民意を反映させる形で、5月までにいい音を大きく響かせてほしいものです。
★あなたもジュゴンの海を守るメッセージをぜひ、鳩山政権に届けてください
https://www.greenpeace.or.jp/ssl/okinawa
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17:49
15 January
2010
アイスランドからクジラ肉に関する報告
先週アイスランドからクジラ肉に関する情報が届きました。
アイスランドは2009年の夏に大規模な商業捕鯨を再開し、約1500トンものナガスクジラ(絶滅危惧種)の肉を生産しました。アイスランドの大手新聞「Morgunbladid」によると(注1)、2009年1月初頭から11月末までにアイスランドから国外へ輸出された冷凍クジラ肉・加工品の量は約3kg。アイスランドから12月中の輸出がなかったことも確認されているので、結局このわずか3kgが、2009年の年間総輸出量となります。
経済破綻したアイスランドで国際的非難のなか行われた今回の捕鯨は、日本のクジラ肉マーケットへの輸出を見込んでのこととされていました。しかし日本ではクジラ肉の消費が低迷し、政府が税金を使って南極海から不必要に持ち帰る大量のクジラ肉が倉庫に眠る状態にあります(注2)。
グリーンピースはアイスランドの商業捕鯨に反対し、その中止を訴えています。私も捕鯨が始まった6月に現地を訪れ、日本でのクジラ肉市場の現状を説明してきましたが(注3)、年末年始をすぎたタイミングで報道されたアイスランドのクジラ肉輸出量は、宴会シーズンですら日本では需要が少なく、クジラ肉が国際貿易の対象とならないことを、再度明らかにするものとなりました。
14 January
2010
本年初ブログ
あけましておめでとうございます。
新年を迎え、だいぶ時間がたってしまいましたが、本年初ブログです。今年もよろしくお願いします。
2010年は国連が定める「国際生物多様性年」です。10月には生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開かれ、環境保護にとって重要な一年となります。

海洋生物の多様性保護や国際水産資源の持続的利用は、私たち環境保護団体、水産業従事者や消費者、そして日本政府もめざしていることです。しかし多くの海域では依然過剰な漁業が後を絶たず、生物多様性が脅かされています。その問題の一つが違法漁業。国際協力の精神を踏みにじり、次世代へ向けての責任も放棄する行為です。
昨年末グリーンピースが発見し、水産庁などに通報した日本船籍による違法漁業(注1)への処罰に進展が見られました。これは、2009年の秋に中西部太平洋を航海していたグリーンピースの船エスペランサ号が、クック諸島の経済排他的水域内で日本船による違法操業に遭遇し、水産庁やクック諸島当局などに報告・情報提供をしたものです。
新聞記事はこちら
昨年末にタヒチで開催された中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)年次会合の場では、このことは表沙汰になることはありませんでしたが、閉幕後、この船の所有会社にクック諸島への罰金の支払いが命じられたことが明らかになりました。水産庁によると、国内法にもとづいた対応も始まるとのことです。
もちろん、日本の船ばかりが違法漁業をしているわけではありません。実際、エスペランサ号は同じ航海で台湾船籍やフィリピン船籍による違法操業にも遭遇しましたし(こちらも各当局に通報)、WCPFC年次会合の場でも台湾、中国、韓国などの違法船名が加盟各国から報告されました。国際会議の場でアジア漁業国を束ねリーダーシップを取る日本政府は、今回の違法漁業を国内でも適切に処罰することで、日本船籍の違法操業の根絶だけでなく周辺漁業国による違法漁業の抑止にもつなげてほしいものです。
WCPFCでお会いした日本の漁業従事者は「規制を守るものが損をし続けるのはおかしい」とおっしゃっていましたが、まったく同感です。今後も主要漁業各国が自国の船籍による遠洋漁業を管理できないのであれば、それこそ違法漁業の温床となっている海域を海洋保護区とする措置の必要性が一層浮き彫りとなります。COP10では、海洋保護区の設立についてどのように進展するか、次世代にたいしての責任をどのように全うしていけるのか、国際的な注目が集まります。グリーンピースは、引き続き海洋保護区の必要性を積極的に訴えかけていきます。