.

グリーンピース・ジャパン

青森県県知事
木村守男様

2002年11月22日

六ヶ所再処理工場からの放出放射能が県民に与えるリスクを明らかにすることと、再処理工場について独立機関による検査を求める要請書

グリーンピース・ジャパン
核問題担当 鈴木かずえ
グリーンピース・インターナショナル
核問題担当 ショーン・バーニー

 グリーンピースは11月15日から22日までフランスの民間放射線研究機関であるCRIIRAD研究所とともに六ヶ所村および八戸、弘前、青森市でのサンプリング調査を行いました。その目的は、独立の立場で六ヶ所村および青森県各地の現状の放射能汚染を調査するためです。

 グリーンピースが今回採取した六ヶ所村、弘前市、青森市の大気は、ベルギーのゲント大学にクリプトン85の濃度の分析を委託します。今回採取した大気のクリプトン85の濃度はバックグラウンドレベル(1.2ベクレル/立法メートル)程度であろうと予想されます。(現在地球上に存在するクリプトンのほとんどは既存の再処理工場から放出されたものです)。

 クリプトン85はベータ線とガンマ線を放出しながら崩壊する気体です。半減期は10.8年。ガンマ線による全身被曝と、ベータ線が引き起こす皮膚癌が懸念されます。また大変拡散しやすく、放出されると、1年で北半球全体、2年で地球全体へと届くほどです。

グリーンピースがフランスのラ・アーグ再処理工場周辺で1998年にサンプリングおよび分析した結果、クリプトン85の濃度は90,000ベクレル/立法メートルでした。グリーンピースがこの値を発表するまで、コジェマ社もフランス政府も大気中のクリプトン濃度を公表していませんでした(そのような秘密主義の会社に、日本原燃は技術支援をあおいでいます)。グリーンピースが値を発表した後になって、フランスの原子力安全機関であるIPSNは再処理工場の地上から5キロメートル上空のクリプトンの濃度が47,000から300,000ベクレル/立法メートルの範囲であると発表しました。

 グリーンピースは、再処理工場が予定通り本格稼動すれば、六ヶ所村のクリプトン85の濃度はバックグラウンドレベルの3万倍にも達しうると予想します。木村県知事はこれを否定できますでしょうか。

現在、六ヶ所村の再処理工場のクリプトン放出管理目標値は330,000テラベクレル/年となっています。この数字は英国核燃料会社BNFL社や仏核燃料公社コジェマ社の1999年実放出量を上回るものであり、さらにアメリカやロシアの軍事用プルトニウム生産工場からの放出量さえも上回る量です。クリプトン除去技術が存在するにも関わらず、その導入をしない日本原燃には県民の安全を守るという意識はありません。

日本原燃は、当初、六ヶ所再処理工場にクリプトン処理装置を導入する予定でしたが、使用済み核燃料中に含まれるクリプトン全量を大気中に垂れ流すことにしてしまいました。このような危険な放射性ガスを全量垂れ流しにすべきではありません。ちなみに2001年1月22日付け英紙ザ・ガーディアンThe Guardianは、英国再処理工場事業者が、自社の立場が悪くなるので、「六ヶ所再処理工場にクリプトン除去装置を絶対導入しないよう、日本原燃に促す」といった策略を練っていた、と報じています。

木村知事は、六ヶ所再処理工場からのクリプトン85およびその他の放射性物質についての情報を、県民に与えるリスクと、その根拠も含めて公開すべきです。青森県民の被ばくによる健康被害を起こすリスク(集団線量)とその計算根拠を明らかにすべきです。

2002年11月11日、日本原燃は六ヶ所村の再処理工場の使用済み核燃料貯蔵プールの水漏れの原因は溶接の「手抜き」であると発表しました。不正を行ったのは元請け業者である日立製作所の下請け業者だとされています。日立製作所は、1991年、1992年に東京電力福島第一原発1号機の格納容器機密試験のデータを偽装していたことが今年になって明らかになっていますが、日立系列の会社は過去にも、1998年に発覚した使用済み核燃料・MOX輸送容器の品質管理データねつ造など、不正事件を幾度もおこしています。

この際、日立がかかわった全作業の検査を徹底的に行うべきです。また、日本原燃がこうした不正を許してきた経緯を考えれば、設計段階にさかのぼっての再点検が必要です。現在行われている化学試験を直ちに中止し、使用済み核燃料の受け入れを拒否し、まず、使用済み核燃料プールについて、使用済み核燃料と水を抜いて、第3者的立場から点検を行える独立の技術者を招いて、県として立ち入り調査をすべきです。

住民や県知事の拒否および電力会社の不正事件により原発でのプルトニウム燃料の使用開始のめどはたっていません。プルトニウムを取り出す必要がないのに、再処理工場の建設を進めているのは、各電力会社および日本政府が、青森県を「使用済み核燃料置き場」と見ているからにほかなりません。

 最後に、再度、ウラン試験によって工場が汚染される前に、再処理工場の建設を中止させるよう求めます。

【関連プレスリリース】
2006年3月30日
「ムダですが再処理はじめます」「核拡散は気にしません」「放射能汚染はじめます」
2006年2月21日
青森県議会が、放射能汚染?〜「立入禁止」の巨大貼り紙、県庁舎の壁に〜
2006年2月17日
イラン、ブッシュ政権、北朝鮮だけではありません!核問題、日本の再処理にスポットライト!
2005年8月5日
ノーモア ヒロシマ ナガサキ ストップ六ヶ所再処理工場
2005年7月26日
広島の空に「平和の羽根」を飛ばそう!〜被爆60周年にグリーンピースが世界に呼びかけ〜
2005年5月27日
六ヶ所再処理工場など核拡散の危険放置〜NPT決裂のまま閉幕〜
2005年3月22日
六ヶ所再処理工場は核拡散を加速させる!
2005年2月7日
原子力発電 後始末費用の消費者負担はおかしい!
2005年2月1日
設計不備を国が指摘 六ヶ所再処理工場でのウラン試験は即時中止を!
2004年5月27日
再処理工場稼動後の大量放射能放出を警告 〜グリーンピース・ジャパン、サンプリング結果報告で〜
2004年4月6日
「再処理工場、次のステップに進むな」〜再処理とめよう!全国ネットワーク、青森県知事に要望書〜
2004年3月23日
日本原燃の隠蔽・ずさん体質変らず、ウラン試験できる状態にない 〜グリーンピース・ジャパンらが保安院に質問書〜
2004年3月10日
「欠陥だらけの日本原燃によるウラン試験を認めるな!」〜グリーンピース・ジャパンら青森県知事と六ヶ所村村長に申し入れ〜
2004年2月27日
「六ヶ所再処理工場の品質保証問題、解決にほど遠い」
2003年5月29日
日本原燃は計画全体を断念すべき!ウラン試験6月断念へのコメント
2003年3月6日
スイス議会で10年間の再処理凍結決定
2002年11月22日
プレスリリース グリーンピース、青森市で大気調査 六ヶ所再処理工場が世界最大のクリプトン85汚染源になりかねない*、と警告 青森県に県民被ばく線量公開を要請
 資料 再処理工場からの放射能は1日で原発1年分
 資料 再処理工場から大気へ放出される主な放射性核種の特徴など
 資料 大気のサンプリングについて
2002年11月14日
六ヶ所再処理工場の建設中止を青森県知事に申し入れ
2002年1月21日
青森県に、ウラン・プルサーマル混合酸化物(MOX)燃料加工工場 に対する立地協力をしないことを求める
MOX工場受け入れないよう、青森県に申し入れ:イギリスの失態の轍を踏むな
2001年10月25日
フランスの「怒れる母たち」、青森県に申し入れ。「子ども達に安心して海で遊んで欲しいし、おいしいお魚をたべてもらいたい。」青森の子ども達の健康と未来そして笑顔を守るために、再処理工場建設中止という木村県知事の英断が今こそ必要。
2001年10月23日
フランスの「怒れる母たち」、来日。本日、経済産業大臣あてに申し入れ。核の再処理工場周辺で小児白血病が多発。青森で同じことを繰り返さないで !
2002年1月21日
青森県に、ウラン・プルサーマル混合酸化物(MOX)燃料加工工場 に対する立地協力をしないことを求める

.
. .
一般社団法人
グリーンピース・ジャパン
〒160-0023 東京都新宿区西新宿 8-13-11 NFビル2F
Tel. 03-5338-9800 Fax. 03-5338-9817 地図・連絡先
© Greenpeace/Greenpeace Japan 1989-2009
All rights reserved.

Search powered by Google