グリーンピースは国際的なネットワークを生かし、パラダイスフォレストを救う活動を世界中で展開しています。破壊の進む現地、パプアニューギニアでの活動からあふれる様々な人々の生の声を中心に、ストーリーをお届けします。
No.12: 次のステージへ パラダイスフォレストのこれから
2006/6/12
森に暮らす人々の手で
パプアニューギニアのマーレイ湖で先住民族コミュニティの原生林保護活動を支援していたグローバル・フォレスト・レスキュー・ステーション(以下GFRS)は、5月末をもって一区切りとし、ボランティアたちは退去し、地元の支援NGOにその管理を引継ぎました。これまでのトレーニングで得た技術や知識を活用し、現地の住民たちだけでエコフォレストリーなどの活動を引き続き行っていきます。GFRS が設置され、世界各国から集まった多くのボランティアたちが現地の人々とともに活動を行った3ヶ月の間に、境界線がマークされた森は30万ヘクタール(参考:東京都の面積が約22万ヘクタール)近く。そして地元の支援NGOとグリーンピースが行ったトレーニングやワークショップによって、住民たちはエコフォレストリーのスキルを身につけ始めました。過去には伐採企業に土地を手渡し、林業から得られる利益の大半を搾取されるということが頻繁に起こっていました。しかしこの先は、コミュニティに公平に利益が還元されるように、自分たちの手で森の管理とビジネスを行なっていく一歩を踏み始めたのです。
現地で活動したグリーンピースのスタッフやボランティアと住民たちの間には強い絆が生まれました。マーレイ湖周辺の地主の代表としてこのプロジェクトでイニシアティブを取ったセップ・ガレバは、「グリーンピースのボランティアたちのことを忘れることはないだろう。彼らが自分達の国へ帰っていった今、マーレイ湖の周りは空っぽになったみたいだよ。彼らがGFRSをたたんで帰っていく日は、わき出る涙をこらえることができなかった。」と語っています。
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No.11: すべては未来のために
2006/6/8
境界線の意味とその長い道のり
前号に続き、グローバル・フォレスト・レスキュー・ステーション(以下GFRS)で活動を行ったボランティア、山中恭子さんのお話から、現地での境界線画定の作業やエコフォレストリーの仕組みなどについての余話をお届けします。
恭子さんが日本に戻ってきて、あるところで GFRS でのリボンを用いての境界線画定の話をした時に、「リボンで境界をマーキングしても、人は入ってきてしまいますよね?意味があるのですか?」という質問をされたことがあったそうです。境界線画定のプロセスは計画的で、多くの事柄に考慮して行われる作業なのですが、それを簡単に説明しようとすると正しく理解されにくいのかも、と恭子さんは言います。
「境界線は外からの侵入を防いだり、作成した地図をもとに政府に訴えるためだけではなく、コミュニティによる森のマネージメント(自分たちが行う管理)のため、という要素もあるのです。」
境界線をマーキングしていくことは、直接的に伐採業者の目に触れることを意識しての印であると同時に、区切りによって、そこに住む各コミュニティに「ここは自分たちが面倒を見るべき土地である」という意識を明確に持たせる(よってしっかりとした形の森の管理が行われやすくする)ことにも重点がおかれています。森の先住民族コミュニティによる計画的で環境に考慮した森の管理が、現場で違法伐採を抑制する力となっていく仕組みなのです。
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No.10: マーレイ湖からの伝言
2006/6/5
真実を見る課題
日本からグローバル・フォレスト・レスキュー・ステーション(以下 GFRS)へ参加した3人目のボランティア、山中恭子さん。個人的に2001年に訪れて以来、パプアニューギニアに魅了され、今回のボランティア派遣で4度目となった訪問 。森の中での暮らしを経て、新たな発見や、膨らんだ様々な想いを聞きました。
たくさんの体験と考えを整頓するのに混乱しながらお話してくれた恭子さんのストーリーは「今回の滞在に向けて固めていたある目的」から始まります。それは、「実状を本当にわかること」。とても単純で当たり前のことのようですが、恭子さんには特別な想いがありました。
「想像力には限界があって、いくら想像を膨らませてもやはりわからないんです。大学の卒業論文で、パプアニューギニアの森林開発の構造とそれがもたらす破壊について書いていたのですが、自分の論文からは森に暮らしている人々の顔が見えてこないことに気づいたんです。」
「書いていて壁があったいうか、どうしても日本の生活とかけ離れ過ぎていて・・・わかることの限界に葛藤がありました。これまでに訪れたのは、パプアニューギニアでも原生林はないハイランド地方などで、森の暮らしの実体験はなかったですし、見きれなかったものがたくさんあったんです。」
例えば、森に住む人々にとって森は恵み豊かなスーパーマーケットであるということや、伐採によって彼らが感じた悲しみや戸惑い、怒りといった感情・・・それらを知ってはいるけれど「本当にそれがどういうことなのか、何が起きているのか」ということを体験を通して明確にしたい - その課題をどうしても果たしたかった、と恭子さんは語ります。
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No.9: アン・カジール弁護士の不屈の信念と願い
2006/5/31
世界が認めた不屈の活動
4月、環境保護に貢献している世界の環境活動家に贈られるゴールドマン環境賞の受賞者が発表され、パプアニューギニアの森林に暮らす先住民族の人たちはその結果に沸き立ちました。原生林の伝統的な土地所有者の権利を踏みにじり、生活と住処を奪う多国籍伐採企業と闘う先住民族の人々の活動を、法の側面から支援しているパプアニューギニアの弁護士、アン・カジールさんの受賞が決定したのです。
カジールさんがどのような活動家か形容するならば「闘う弁護士」という言葉がぴったり当てはまります。彼女が法学部の学生だった時、違法伐採が野生生物の生息地にダメージを与えるばかりか、森に依存して暮らす先住民族の人々の人権がひどく侵されているのを目撃し、以来、彼女の長い闘いは始まりました。1997年、カジールさんは、横行する違法伐採を事実上誘発しているパプアニューギニア政府内に蔓延する汚職と、政府の違法伐採の共犯の証拠を明らかにしました。また、伐採企業の違法性を告発して、先住民族の権利と訴えを勝訴に導きました。このパプアニューギニア最高裁での勝訴は非常に劇的な出来事で、これによって、原生林に暮らす先住民族への多額の賠償金の支払いが約束されました。しかし、問題は未だ完全に解決したわけではなく、カジールさんの闘いは終わっていません。
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No.8: ハプソロからのメッセージ
2006/5/16
本当に必要な分はどれくらい?
「日本の人々は、もしかしたら本当に必要な分以上に紙や木製品を消費しているのではないか、と思います。」とハプソロは言います。
ハプソロは、グリーンピース・東南アジアの森林問題担当。先週、グリーンピース・ジャパンのスタッフとともに日本でのパラダイス・フォレストの活動を行うために来日していました。グリーンピースで現在の担当になる以前から原生林破壊の問題に携わり、その関係で以前にも何度か日本へ来たことがあるそうです。再び訪れた日本で、パラダイス・フォレストの問題を通して彼の目に映った日本について、感想を聞きました。
「常々思っていることですが、日本のように比較的小さな国が、東南アジアの原生林のみならず、世界中の原生林破壊の脅威となるほど凄まじい量の木材を消費しているということが信じられないのです。日本での人々の生活を見ると、トイレットペーパーやティッシュペーパーを非常に多く使っているようですし、割り箸などの使い捨ての木製品も多い。見えにくいところでは、コンクリート型枠(建設工事で使われる液状のコンクリートを流し込むための枠材)に使い捨てで使われる合板などは膨大な量です。」
企業としては、大量に必要なものは安く仕入れたい・・・安い木材は国産よりも海外のもの・・・産出方法がどうであれ(違法伐採/破壊的伐採)安い輸入材・・・ということになってしまうのでしょうか。
建設現場で使われる木材などは、一般の消費者が選択することは難しいですが、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなど、日用品で環境に配慮した製品を選んだり、消費を少し控えたり、使い捨ての木製品をできるだけ使わないように心がけることはできます。街で配られているポケットティッシュや、ボックスティッシュのパック(日本では馴染み深いものですが、5箱セットでパッケージになって売られているのは、あまり海外では見かけません)なども、日本では「ふつう」になってしまっています。
「本当に必要な分だけを」という考え方に見直すときが来ているようです。
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No.7: インドネシアから日本へ 海をわたる原生林
2006/5/12
違法伐採木材が日本の港へ
4月11日、インドネシアの原生林から違法に伐採された可能性の高い木材で作られた合板が、日本などへ向かう運搬船「アルディアント号」(インドネシア船籍)に積載されていることがグリーンピースの調査で判明しました。インドネシア沿岸で違法伐採木材の輸出のパトロールを行っていた「虹の戦士号」のクルーは、それらの合板の積載が確認されたソロン港で、積み出しを止め原生林を守るよう、横断幕などで訴えました。
この「アルディアント号」は韓国を経由して、5月1日に博多港に接岸し、伐採方法の合法性が証明できないインドネシア製の合板が降ろされました。5月11日には横浜港でも、同船からのそれらの合板の荷降ろしが確認されたため、グリーンピースは、違法伐採された木材の輸入規制の実行を日本政府に求めるアピールを港内で行いました。
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No.6: ブラジル CBDでの活動に参加して
2006/4/10
世界の子どもたちの「想い」
ブラジルで行われた生物多様性条約会議(CBD)の会場などで、様々な活動を行った世界各国から集まった子どもたち。その活動に日本から参加した廣瀬さんが、感想を語ってくれました。
「他の国の子どもたちの、森林(生態系)保護活動への“想い”や“思い入れ”といった、活動意欲とモチベーションがとてもしっかりしているんです。一番多かった子どもたちの年齢は 14〜16歳の、日本で言えば中学生くらいの子たちで、私が一番年上なくらい。その子たちが、アピール活動をどのように行うかなどの課題を与えられて、意見を出しあい、議論して真剣に考えて、具体的なものをつくっていく・・・日本との文化の違いなどもあるのでしょうが、その積極的な姿勢がとても印象深かったです。」
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No.5: エコフォレストリーでいこう!
2006/4/6
現地のひとたちと
パプアニューギニアから帰国したグッチさんが事務所に報告に来てくれました。現地へ発つ前よりも髪を短くされていたので「髪切ったんですね」と言うと「うーん、湖で髪を洗わないといけなかったので、切っちゃいました」という答えが返ってきました。そんな会話からも「森での暮らし」の様子が伺えます。
グッチさんがこれまでも何度も訪れているというパプアニューギニア。しかし今回はグローバル・フォレスト・レスキュー・ステーション(以下 GFRS)への参加があり、これまで通っていたイースタンハイランド州のゴロカではない初めてのウェスタン州への訪問でした。各地方の間で、何か違いを感じられたのでしょうか?
「人々の気質の違いは少し感じました。どこの地方でもみんな親切だなぁ、というのは共通した感想ですが、ウェスタン州では外国人を見たことがない人たちもいるので、比較的人見知りをするような感じもありました。イノセントでとても前向きな人たちですよ。」
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No.4: 森林保護を訴えるユースの声、ブラジルから
2006/3/28
私たちの未来のために
ブラジルのクリチバ市にて、生物多様性条約第8回締約国会議(CBD,COP8)が3月20日から31日にかけて開催されています。この会議場には、グリーンピースの呼びかけで森林保護活動のために集まる学生や子どもたち “Kids For Forests”* の参加も、会議事務局長によって歓迎されており、10カ国から集まった11〜20歳の約30人のユースが「世界の原生林と私たちの未来を守って!」と、会議参加者にメッセージを送ります。このCBDでの活動に、グリーンピース・ジャパンからはボランティアの廣瀬理津子さんが参加しています。
出発前に、廣瀬さんは抱負をこう語っています。「クリチバにて、他の国のユースたち、国の代表者たち、そしてNGO団体の人たちと、年齢や国籍、バックグラウンドの違いを超えて、森林と生物多様性の保全に対する思いとともに、どこまでひとつになれるか、そして帰国後得たものをどのように放ち共有するのか、心の底から楽しみにしています。より多くのものに触れ、受け止め、それを多くの人々と共有して、少しでも多くの生命を地球に残すこと、貴重な原生林を守ることにつながることを強く願います。」
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No.3: パプアニューギニアへの誘い
2006/3/18
パプアニューギニアとグッチさんのかかわり
白井さんに続き、ボランティアの堀口貴行さんこと、グッチさんがグローバル・フォレスト・レスキュー・ステーション(GFRS)へ参加します。
グッチさんは、ちんどん屋、大道芸人などユニークな経歴を持つアーティストで、2003年秋に東京でグリーンピースが行ったパプアニューギニアの森林問題のイベントでも、パプアニューギニアからのゲストスピーカーと共に、踊りを披露してくれました。
パプアニューギニアで行われる「シンシン」と呼ばれるダンスショーへの興味から、2002年に初めて現地を訪れて以降、毎年通っているというグッチさん。数あるシンシンショーの中でも、大規模なショーのひとつ「ゴロカショー」を見に行き、ひょんなことから参加してしまってからというもの、その後「ゴロカショー」へ里帰りは毎年9月の恒例となったそうです。先住民族の人々をモチーフにした作品の制作にも取り組むなど「パプアニューギニアがライフワーク」というグッチさんが、現地の人々について語ってくれました。
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No.2: ボランティア白井さんが見たパラダイスフォレスト
2006/3/17
生い茂る原生林に、痛々しく貫かれる伐採道路
パプアニューギニアの原生林での様々な体験から、どのようなことを感じられたのか、帰国した現地派遣ボランティアの白井さんに聞きました。まず、グローバル・レスキュー・ステーション(以下GFRS)のある森へ向かう途上で上空から見た光景から驚きは始まります。
「視界一面に広がる原生林に、伐採のトラックが行き来するための道路が貫かれていました。このように道路が通っている様子は、以前写真では見たことがありました。それを実際に目の前にして、長々と森が切り裂かれている様は、痛々しかったです。」
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No.1: グローバル・フォレスト・レスキュー・ステーションから世界へ
2006/3/1
パラダイスト・フォレストから日本へのメッセージ
パプアニューギニア西部のマーレイ湖付近に開設された「グローバル・フォレスト・レスキュー・ステーション」(以下 GFRS)では、世界16カ国からボランティアや活動家たちが集まり、現地住民とともに原生林保護活動を展開しています。ヨーロッパ、オーストラリア、など 国際色豊かな参加者 の中でも、日本と中国からのメンバーの参加は大きな意味を持ちます。日本と中国は、パプアニューギニアから輸出される木材の主な消費国。 境界線画定 などの現地での活動に加えて、木材消費国の市民の選択が木材伐採地の悲惨な状況を左右すること、そして今現在進んでしまっている伐採の現状などを、自分たちの国へと伝えていきます。
現在、GFRS で活動を行っている日本からのボランティアは、白井優さん。GFRS 参加に際して、思いを語ってくれました。
「以前、新聞記事で目にした『日本の木材は山からでなく、海からくる』という一文にショックを受けたのを覚えています。今回の GFRS への派遣にあたって、パプアニューギニアにとって日本は2番目に大きな木材輸出先だという事実は、まさに私が見た一文の進行形でした。日常に在る木製品が生産される森林で何が起きているのか、消費国の私たちは実態を知る必要があります。違法や破壊的伐採から原生林を守ることは、私たちの責任です。現地の人々との交流と連携を大切にし、問題解決に向けて『行動すること』の重要さも訴えて行きたいと思います。」
写真:泥でできた大きな仮面をかぶった「マッドマン」と白井さん