国連環境計画の諮問グループが1990年に発表した報告書では、地球の平均気温が産業革命前とくらべて1℃以上上昇すると、「生態系に急速で予測不能な事態がおき、大きな被害が発生する」可能性があると指摘されています。そして、人間の健康および生態系が適応可能な気温の上昇と海面上昇の幅や速度の限度(ここでは「生態学的限界」と呼びます)を次のように算定しました。
しかし、地球の平均気温は産業革命前と比べてすでに0.3℃〜0.6℃上昇していて、現在も10年に約0.2℃の割合で上昇しつづけています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が行った気候変動の影響に関する科学的検討でも、上記の警告をほぼ確認する結果が出ています。
では、使っても、「生態学的限界」を超えない化石燃料の量はどれくらいなのでしょうか。グリーンピースはこれを見積る計算をしました(カーボン・バジェット)。
ここで明らかとなった事実は、化石燃料の確認埋蔵量の4分の1以上を燃焼させたら、もう気候変動の"安全"な限界すなわち「生態学的限界」を超えてしまうということでした。これは地中に埋蔵されている量が足りなくなるのではなく、埋蔵されていることが確認されていても、地上でわたしたちの生態系を維持するためにはその4分の1以下しか利用できないということを意味します。
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グリーンピースでは、この二酸化炭素を排出できる許容量を"予算残高"とみて「カーボン・バジェット」と呼んでいます。この量を現在の化石燃料の利用量から計算すると、今のスピードで化石燃料を燃焼させつづければ、30年ほどでこの"残高"を使いきってしまうでしょう。
石油などの化石燃料が使えなくなるという意味では、本当の「石油危機」は、地中にではなく、地上にあるのです。