グリーンピース・ジャパンは2008年9月1日から、事務所で使用する電力を「グリーン電力証書」を通じて「グリーン電力」に移行しました。

グリーンでリスクの少ない電力へ移行

日本の電力会社が供給する電気の平均的な電源構成は、原子力が約30%、石炭火力が約25%、石油火力が約10%、天然ガスが約25%、そして残りのほとんどが水力です。太陽光や風力、地熱といった「自然エネルギー」は全部あわせても1%にも満たないのが実情です。

原子力発電や火力発電は、環境や将来の世代の負担が大きい発電方法です。グリーンピースは事務所で使用する電力の65%(ちょうど原子力と石炭・石油火力による発電分にあたります)を、青森県のNPO法人グリーンシティが発行する「グリーン電力証書」を通じて、同法人が大間に設置した風車で発電した「グリーン電力」に置き換えました。

「グリーン電力証書」

リスクの"オフセット"

【図】2005年度の発電電源構成 資料出所:『2007年度版エネルギー白書』資源エネルギー庁

「グリーン電力証書」の利用は、原子力や火力、大型水力といった従来の大規模集中型の発電方法がもたらすリスクや環境負荷を"オフセット"する、とも言い換えられるでしょう。

"オフセット"とは「相殺」とか「埋め合わせ」という意味です。よく用いられるのは代表的な温室効果ガスとして知られ、とりわけ気候におよぼす影響が大きい二酸化炭素に対してで、「カーボン・オフセット」と呼ばれます。これは簡単にいうと、ある活動にともなって排出された二酸化炭素を、その分、別のところで削減することにより「出さなかったことにする」(オフセットする)という考え方です。厳密には排出源を特定し、排出量を計算し、そのうえで"オフセット"する方法を選び、代金を支払います。

ここで重要なのは"オフセット"という行為そのものより、それを通じて自分がどんなエネルギーをどのくらい使っているか、まず現状を把握し、さらにどんなエネルギーをどう使い、どのくらい排出を減らすかについて、主体的にかかわることにあります。結果に対して"オフセット"するより、排出を低減していくほうが、より本質的な対策になるからです。

グリーンピースはこの概念を、二酸化炭素以外のリスクにもあてはめることを提唱します。「グリーン電力証書」システムの利用者は、火力発電のもたらすリスク(地球温暖化を加速させる二酸化炭素、大気汚染や酸性雨の原因となるガスの排出)だけでなく、原子力がもたらすリスク(放射能による汚染、核廃棄物の増大、核拡散の危険性など)を、「証書」を通じて購入した電力分だけ"オフセット"したと考えられます。いわば"ニュークリア・オフセット"です。

足元からのエネルギー[r]eボリューション

グリーンピースの『エネルギー[r]eボリューション』(注1)をはじめ、温室効果ガス排出の大幅削減を目標とするエネルギー・シナリオは、それを達成するうえでもっとも効果がある対策として、エネルギー効率の向上をあげています。グリーンピース・ジャパンは「証書」(=環境価値)購入をひとつのきっかけに、事務所のエネルギー消費のあり方を総ざらいし、エネルギーの無駄づかいを減らしていきます。そうすることで「証書」の代金の一部をカバーするとともに、足元から「エネルギー[r]eボリューション」を実践していきます。

注1:『エネルギー[r]eボリューション――日本の持続可能なエネルギーアウトルック』(PDFファイル 1.41MB)

自然エネルギーを着実に増やしていく

「グリーン電力証書」の購入代金は、電力会社に支払う電気料金と違って、火力発電所や大型ダム、原子力の拡大などに投じられることはありません。確実に自然エネルギーに投資されます。このシステムを通じて、だれもが自然エネルギーの成長に貢献できます。

★グリーンピースは、一般の消費者が自然エネルギーでつくられた電気を、もっと気軽に利用できるようなシステムの提供を検討中です。

「グリーン電力」とは

一般に風、太陽光、バイオマス、水力といった自然エネルギー源を利用してつくられた電気をいいます。「グリーン電力」には、電気そのものの価値に加え、発電にともなう環境への影響や将来の世代の負担を減らす、といった環境面での価値(環境価値、あるいは環境付加価値)があります。

「グリーン電力証書」とは

日本の現在の電力事業制度では電力会社が発電事業と送配電事業を独占しているため、大口の需要家を除き、一般の消費者は電気を選べません。原子力や火力ではなく自然エネルギーで発電された電気を使いたくとも、たとえば自宅やオフィスのある場所が東京電力の管轄エリアなら、同社が決めたブレンドによる電気を買うしかないわけです。太陽光パネルや小型風力発電機などの機器を設置して自家発電するという方法もありますが、さまざまな問題をクリアしなければなりませんし、かなりのコストがかかります。

では資金と条件がそろえられない消費者は、グリーン電力をあきらめるしかないのでしょうか……。

そこでできたのが「グリーン電力証書」システムです。これは自然エネルギーでつくられた電気の環境価値を「証書」という具体的な形にし、「証書」の購入者は「証書」に記されている量の電気をグリーン電力に置き換えた、とみなすしくみです。

「グリーン電力」の認証

発電された電気が本当に環境価値をもつグリーン電力かどうか、そして「グリーン電力証書」システムがきちんと機能しているかどうかは、第三者機関が確認します。「グリーンエネルギー認証センター」は、発電設備が自然エネルギーの基準を満たしていること、「証書」を通して取引される電力がそこで実際に発電されていること、そして「証書」の購入代金がグリーン電力発電設備に投じられていることを確認し、認証します。

証書を発行するのは、同センターが発行機関として認定した事業者です。2008年現在、8事業者が発行業務を担っています。発行事業者は、認証センターが認定した自然エネルギー発電設備をもつ事業者と、「証書」を購入したい消費者を仲介します。

「自然エネルギー」の価値

大間の風車(C) Greenpeace / Naomi Toyoda 大間の風車(C) Greenpeace / Naomi Toyoda

自然の循環のなかで生まれるエネルギー資源を利用してつくるエネルギーを「自然エネルギー」と呼びます。自然エネルギー資源には、風力、太陽光や太陽熱、家畜の糞尿や木屑、農作物の廃棄物などをつかうバイオマス、環境破壊につながらない小規模水力、地中の熱を利用する地熱、海の潮汐や波などがあります。

自然エネルギー資源は持続可能なエネルギー源です。化石燃料やウランと違って枯渇しません。また地球温暖化の加速や大気汚染・酸性雨の原因となるガスをほとんど発生しませんし、放射能汚染や核拡散、何万年ものあいだ管理が必要な核廃棄物の増大、といった深刻なリスクももたらしません。核拡散や核テロ、そして石油や他の資源のように争奪戦争を引き起こす心配もありません。

自然エネルギーは、地域の特色にあった「小規模分散型」のエネルギーを利用します。その普及は地域の活性化にもつながります。