07 November
2008

イベント告知

六ヶ所関連のイベント告知です。お時間のある方、ぜひ足をお運びください。よろしくお願いいたします。

■またまた失敗!六ヶ所再処理欠陥ガラス固化を斬る討論集会
日 時 11月13日(木)18:30〜21:00
場 所 総評会館5階会議室(地下鉄新御茶ノ水駅すぐJR御茶ノ水駅5分)
お 話 小山英之さん(美浜の会)他
主 催 福島老朽原発を考える会/ストップ・ザ・もんじゅ東京/核燃とめておいしいごはん
賛 同 原子力資料情報室/グリーンピース・ジャパン

■経済産業省別館前アピール行動
日 時 11月14日(金)12:00〜13:00
場 所 経済産業省別館前
主 催 アクティブ試験を憂慮する全国の市民有志
    プラカードや横断幕等をお持ちください(もちろん手ぶらでもOKです)

■保安院交渉(日本原燃「ガラス固化体製造試験報告」に関するヒアリング)
日 時 11月14日(金)14:00〜16:00
場 所 参議院議員会館第一会議室
集 合 13:30 参議院議員会館ロビー(事前打ち合わせを行います)
主 催 原子力政策「転換」議員懇談会(近藤正道参議院議員ほか)



2008年10月2日 経済産業省前にて (C) Greenpeace/Naomi Toyoda

Posted by manami at 15:02
12 September
2008

気候変動を口実に「原子力立国」へ向かう日本 (その1)

一見、ばらばらに起きているかのような出来事が、実は複雑に絡みあっていて、いつのまにかそれらが巨大な雪崩となり、ものごとを一気に押し流してしまうことがある。私たちが後から知ることになる「歴史」とは、その記録ともいえる。

 

原子力(=核)“市場”は、金のかかる核(=原子力)産業を支えるために、原子力発電(核の「平和利用」)を世界に売ることで、巨額の資金を得るためにつくりだされた。“市場”をつくったのは、米国を筆頭に核兵器を先に獲得した国々だ。この“市場”が、核拡散をもたらした。核兵器を持つ国が増えると困るので“市場”に制約が設けられたのだが、今度はビジネスが飽和状態に陥ってしまった。そこで制約をとっぱらって“市場”を広げよう――これが、今、推し進められている動きである。まだ雪崩にはなっていないが、今のうちに歯止めをかけないと、そのうち止めようがなくなるかもしれない。

 

先日、この流れを加速する出来事があった。

 

94日から6日にかけてウィーンで開催された原子力供給グループ(NSG: Nuclear Suppliers Group)の総会は、「事実上の核兵器国」であるインドに対し、核燃料や原子力関連技術・資機材を提供することを承認した。これまでインドに対しては禁輸措置がしかれていたが、日本を含む全会一致で、同国をその対象から外すことにしたのである。

 

NSGは原子力関連技術や資機材、核燃料などを有する国々で構成されており、原子力関連の輸出にあたっては、メンバー国はNSGの禁輸措置などのガイドラインを守ることが求められる。

 

インドを同措置の対象から外すことを提案したのは米国である。2005年、米国とインドは原子力協定に基本合意(そして2007年、同協定を締結)した。米国の目的はインドへの原子力関連の輸出、インドのそれは海外ウラン燃料と原子力協力の獲得にある。しかし協定を発効させるには、いくつかのハードルを越えなければならない。最大の難関は、NSGによる承認だ。

 

NSGの決定は全会一致が原則である。先の総会の二週間前に開催された総会では、米国案に対し、反対または慎重を唱える国が多数を占めた。承認は困難かと思われたが、短時間のうちに米国が各国を説得し、どんでんがえしとなった。次のハードルは、米国議会による承認だ。ライス国務省長官は、速やかに議会を通過させるべく猛攻勢をかけているという。ブッシュ政権のうちに、なんとしても協定を発効させようとしているのだ。私の友人は、これを「ブッシュの最後っ屁」と揶揄している。「立つ鳥、あとを濁さず」にしてほしい。厄介で、迷惑で、危険な「屁」など、残して欲しくないものである。

 

そもそもNSGが発足したのは、インドの核兵器保有がきっかけだった。インドはカナダから「平和利用」だとして原子炉(減速材に重水を使うタイプの原子炉)を輸入し、その炉でつくったプルトニウムを使って核爆弾を製造。74年、核実験に成功し「核保有国」の名のりをあげた。重水を提供したのは米国である。ちなみに同炉は、国際原子力機関(IAEA)の保障措置(核兵器に転用していないことチェックする措置)のもとにあった。

 

この苦い経験から第二のインドを出現させないよう、供給サイドの管理を徹底するため、75年、NSGが米国主導でつくられた。米国は核拡散防止を掲げ、北朝鮮やイラン、中東に対しては強硬措置をとり続けている。そのいっぽうでインドを優遇するというのだから、とんだ「二重基準」だ。これがインドと敵対する隣国・パキスタンを刺激しないはずがない。

 

現行の核拡散防止防止条約(NPT)にもとづく体制(「NPT体制」)に、大きな風穴があけられてしまった。NPTは欠陥だらけの不平等条約だが、核兵器を持とうとする国々をまがりなりにも牽制してきた。今回のNSGの決定は、不平等をさらに拡大した。それは必ず反発を招く。

 

総会では、国内に巨大原子力産業を抱えるフランスとロシアなどが米国案を強力に推した。自国の原子力関連技術や資機材を売る新たな市場が欲しいからである。日本は、当初、米国案に対し慎重な態度をとっていたが、最終的に容認した。

 

ヒロシマ・ナガサキという、実戦において核兵器が市民に向けて使用された地をもつ日本であればこそ、世界のどの地においても、この惨禍を二度と繰り返させないようにする責任がある。日本政府も、内実はともかく、その役割を担っていると自負しているはずだ。米国案に対し、断固反対の立場をとって然るべきであった。インドを例外措置から外すことを容認したのは、愚挙以外の何ものでもない。

 

広島県被爆者団体協議会をはじめ日本のNGOは、即座に日本政府に対して抗議声明と要請を提出した。その文面からは政府に対する怒りと、核のない世界を後世に残そうとする決意が、ひしひしと伝わってくる。

 

http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=704

 

日本が米国案を容認した背景には、国内での増設がほとんど見込めない日本の原子力産業にインドという新規市場を提供する意図があったのは、誰の目にもあきらかだろう。産業界からは、米国案を支持する声が早くからあがっていた。インドが海外の協力で原発を増設すればCO2の排出削減につながる、とまことしやかな説明がなされているが、原発は導入までに時間がかかりすぎて、危険な気候変動の抑止にはほとんど役にたたない。インドの専門家の分析では、同国が原子力発電を現在の10倍に増やしても、CO2の削減効果は2%程度という。

 

http://kakujoho.net/inpk/ind_u_j.html

 

次回は、日本政府の「日の丸」原発輸出に向けた動きを追う。気候変動政策を口実に、「原子力立国」という国家戦略が大手を振って歩き始めた。


Posted by manami at 12:26
18 July
2008

サミットこぼれ話 その2

ピースボートのKさんは平和、とくに核拡散防止と核軍縮の分野でたくさんの仕事を担っている方で、「2008年G8サミットNGOフォーラム」の「人権・平和ユニット」のリーダーでもある。ちなみに市民フォーラムには、他に「環境ユニット」と「貧困・開発ユニット」がある。いずれもグリーンピースが取り組んでいるテーマだが、今回は気候変動を主要課題とすることにし、私たちは環境ユニットに加わった。

さてサミット2日目(7月8日)の午後、首脳宣言が発表された。宣言のコピーを取りに行ったKさんは、「3Sに立脚した原子力基盤整備に関する国際イニシアティブ」(注1)という文書も出ていることに気がつき、そのコピーを持ってきてくれたのだった。なお3Sとは、核不拡散/保障措置(non-proliferation/safeguards)、原子力安全(safety)及び核セキュリティ(security)を指す、とある。

内容をかいつまんで言うと、「地球温暖化とエネルギー安全保障に対処するため原子力に関心を示す国が世界中で増大しているので、原子力導入に不可欠な3Sの基盤整備を関係国ならびに国際協力でおこなう」というもの。G8各国は巨大原子力産業を抱える国でもあり、原発の段階的閉鎖を決定しているドイツは事情が違うが、国内での増設がさまざまな理由で頭打ちになっている国でもある。地球温暖化を名目に原子力を宣伝し、関心を煽っているのは、これらの国々の政府であり企業だ。つまるところ、国内産業の維持のために原発輸出したいので互いに協力しましょう、ということである。

原子力発電と核兵器拡散とは切っても切れない関係にある。エネルギー源のなかで原子力だけが、あえて「平和利用」と強調しなければならないのは、大規模な原子力開発は核爆弾をつくるために始まり、その軍事技術が発電に転用されたからだ。おびただしい事実が示すように、「平和利用」あるいは「民生利用」の歴史は、核拡散の歴史でもある。近年、核拡散"しにくい"「革新的」技術の研究・開発とやらが米国や日本を中心に謳われているが、その本格的実用化は来世紀になるのか、もっと先なのか定かではない。

原子力が気候変動対策の役に立たないことについては、長くなるのでここでは省く。詳しくは「原子力は地球温暖化の抑止にならない」(注2)を参照されたい。

ともあれ、あたかも世界に貢献するかのような偽善的な文書を、このまま黙って見すごすわけにはいかない。急きょ、ピースボートとグリーンピース・ジャパンで共同声明(注3)を出し、夜8時半から緊急記者会見を開いた。駆けつけてくれたメディアは少なかったが、ある記者は「いちばん、意味のある会見だった」と慰めて(?)くれた。

なお、このイニシアティブを提案したのは日本政府。イニシアティブに掲げられている原則のなかに「各国は、自国のエネルギー政策を決定する権利を有する」とある。これこそ、日本政府がこの文書を出すことで、もっとも獲得したかった点だと私は見ている。再処理は核兵器製造に直結する技術であり、六ヶ所再処理工場の本格操業の開始は、核拡散の観点から世界は今でも問題視している。国際情勢によっては、同工場を運転する権利を奪われるかもしれないからだ。

注1:3Sに立脚した原子力基盤整備に関する国際イニシアティブ
注2:原子力は地球温暖化の抑止にならない
注3:ピースボート&グリーンピース・ジャパン共同声明


Posted by manami at 19:16
09 July
2008

G8サミット、こぼれ話。

「ひどい」「これじゃ、後退だ」
NGOルームにあるモニター・テレビを囲んでいた日本人が声をあげた。何事が起きたのかと、パソコンを打つ手を止め、いっせいに顔をあげる海外NGOたち。

8日のランチミーティングで、G8首脳たちは気候変動対策について討議した。モニター画面には議長の福田首相が、国内外の記者たちに会議の「成果」を伝える様子がライブで映し出され、日本のNGOたちは彼の発言にじっと耳をすませていた。


(C)Greenpeace 2008年7月9日 国際メディアセンター(IMC)内 G8の成果を伝える福田首相を映し出すNGOルームにあるテレビモニター。

今年のサミットの重要課題は気候変動対策。焦点は、G8が温室効果ガス排出削減の長期目標に合意するだけでなく、さらには中期目標まで出せるかどうかにあった。長期目標を達成するうえでも、そして京都議定書の第二約束期間へスムーズに移行し、気候変動による壊滅的な被害を防ぐには、2020年を見据えた野心的な削減目標が不可欠だからである。今日、大気中にある温室効果ガスの大半を排出してきたG8各国は、そうした目標を率先して掲げる責任があるし、「先進国」はそれを可能にする技術をもっている。

「ひどい」との声があがったのは、ぬか喜びしたためだ。何で、ぬか喜びかというと・・・合意内容などについては報道にまかせるとして、サミット会場「近く」から、「サミットこぼればなし」のいくつかをお伝えしよう。

まず、会場「近く」とカッコつきで強調しているのは、サミット会場は超厳重警備で近づけないし、NGOルームがある国際メディアセンターは会場から 30キロ以上離れているためだ。つけ加えるとNGOが宿泊しているホテルは、そのメディアセンターからさらにまた数十キロ離れている。センターへ向かう車窓から見えるのは、北海道の大地と、そして警備車の隊列と、車道のそこここに配置された警察官たち。前を走る警備車のナンバープレートは三重県、横を走るのは山口県のもの。聞くところによると、シャトルバスの運行にはバス会社のOBまで駆り出されているとか。通信会社やIT関連の技術者も、各地から投入されているらしい。サミット関連の費用は、いったいどのくらいにのぼるのやら。

閑話休題。

実は、今年のサミットで画期的な成果が得られるとは、NGOの面々はあまり期待していなかった。正直なところ、福田首相から画期的な発言があるとは思えなかったからだ。

・・・と、「削減の基準年は」との質問に、首相は「90年。ハイリンゲンダムで決めたでしょ」との答え。これには、こちらがびっくり。画面を見ていたNGOたちは、「お!」とばかりに思わず顔を見合わせた。ところが中期目標の具体的な数字を質問されると、首相は一瞬言葉を失い、手元の紙を見て、それから背後のほうに目をやると、数字の合意はないこと、そして基準年は90年ではなく現状、と訂正した。

「ひどい」と声があがったのは、このときだ。基準年を90年にするのか、現状にするのかでは、削減量が大きく違う。日本政府は国際交渉で2005年案を押してきたので、首相が90年比と明言したとすれば、それは画期的だ。そこで、ぬか喜びしてしまったのだが、1分もたたないうちに、がっくり。もともと期待していなかったので、ぬか喜びがなければ、さほどがっくりもしなかっただろう。

しかも出てきた文書を見たら、基準年も削減目標数値と同様で、数字はあやふやのままだ。90年でもなければ、現状でもない。要するに拘束力のある合意は、実質的に何も出なかったのである。これでは交渉に進展がなかったというより、後退したと評価されてもしかたがないだろう。「50年までに50%削減」とするとき、基準年をどこに置くかで、大きな差が出てくる。「数字」をもてあそんでいる場合ではない。モルディブ共和国の声明にあるように、世界が、とりわけ先進国が、実際にどれくらい削減する意志があり、実行するつもりなのか、それが問われているのだ。

さあ、この文書にどんな声明で対応したものやら、と考えをめぐらしていたら、ピースボートのKさんが「こんなのが出てきましたよ」と、原子力についての文書をもってきた――この続きは、次回に。


Posted by manami at 18:16