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Greenpeace

アメリカに対するブーイング、サミットへの批難
何もしない政府、行動する市民

9月4日(水)南アフリカ/ヨハネスブルグ発

今回のヨハネスブルグ環境開発サミットは、総体的に見れば、公に認められているように、たしかに惨憺たる結果に終わった。しかし、少なくとも国際社会は、政治家の話術にたぶらかされることはなかった。今日もまた、ヨハネスブルグは、政府の無行動に対する抗議行動に立ち上がった人々の熱気でヒートアップした。会議の行われたヨハネスブルグのサントンでは、「我がアメリカはグローバル社会の一員として、ここヨハネスブルグにおいても責任ある態度を示した」というアメリカの主張に異議を唱える人々が、会議場の中でも外でも声を上げた。

「政治はその義務を果たさなかった」と語るのは、グリーンピースの気候政策顧問のスティーブ・ソイヤー。「これからは、この問題の解決は私たち自身の手にかかっています。」グリーンピースは、ヨハネスブルグ・サミットの結果を評価した成績表を作成した。事前のサミット評価チェックリストに照らし合わせてみると、ほとんどすべての項目が目標に達しなかったことは明らかだ。主たる理由は、アメリカによる舞台裏での強引な工作活動。会議中アメリカは一貫して、企業責任を確立するための提案に抵抗し、再生可能エネルギーの開発を急ぐための目標設定に反対した。

サミット最終日の正午頃、アメリカのパウエル国務長官はアメリカの全権代表として、会議場をいっぱいに埋めた人々に向かって演説をした。グリーンピースも含めた数多くの団体は、この会議が再生可能エネルギーに関する明確な目標を設定できなかった責任は、おおむねアメリカにあると批判してきた。

「100以上の国からやってきた団体が、あの場に集まっていました。抗議行動をするような計画などいっさいありませんでした。けれども、パウエル米国務長官がアメリカの遺伝子組替え食品を拒絶している国を牽制する発言をした時、突然、何の前触れもなく、ブーイングとやじの嵐が巻き起こったのです。聴衆を静めようとパウエル長官が、アメリカは生物多様性を保護しており、再生可能エネルギーも推進していると繕うなり、会場は火山が噴火したような轟音にどよめきました。もはや、黙って座っている人は誰ひとりいませんでした。」と証言するのは、グリーンピース代表団の一員として会場入りしていたマット・ジア−ニだ。

"会場全体が怒号に渦巻くなか、パウエル長官は数分間スピーチを中断せざるを得なかった。「ブッシュよ、恥じを知れ!」という叫びも聞こえた。"政治の裏切り"と書かれた横断幕も掲げられた。声を上げた何カ国かの代表数人は警備員によって力ずくで無理やり退場させられたが、警備員につかまれながらも彼らは抗議の声を弱めなかった。議長のズマ女史は会場の静粛を求めて、「こんなことはまったく容認できません」と諭したが、抗議の嵐が鎮まることはなかった。

ジア−ニは言う。「アメリカの姿勢が批判されたことは、アメリカ人の私としてもうれしいことです。アメリカの代表団がアメリカ人すべての意見を代弁しているわけではないということを、世界の人々が知ることは大切なことです。サミットに乗り込んできたアメリカの交渉団は、多国籍企業の代弁者としてこのサミットで傍若無人な態度をとっているのです。」

"サミット総会への入場許可を得ることのできたNGOはとても少数だった。しかも、許可証を持っている団体も日曜日の総会では、何時間も列に並ばされたあげく、予告なしの突然の抽選によって、限られた数の入場チケットを入手しなければならなかった。

多くの団体は、地元地域の代表、貧しい人々、環境団体が会議から排除されたことに抗議した。世界の貧困撲滅をスローガンに活動する世界的規模のNGOネットワーク「オックスファム」は今回のサミットを「恥知らずの強欲と私利私欲の大凱旋式典、貧困と地球環境の惨劇」と呼んだ。

総会の行われている会議場の外でも、異議申し立ての声は上がった。サントン広場では人々は"恥知らずなサミットなどもういらない"と書かれたステッカーを身に付け、南アフリカの警察が乱暴に彼らを排除するまで移動することを粘り強く拒んだ。BMWの新車が展示されている広場での、警察の市民に対する乱暴な排除行為は、ヨハネスブルグ・サミットの日常風景になってしまった。このドイツ自動車メーカーはサミット会場前の広場の独占的使用権を買い、売出し中の新車を陳列することで彼らのメッセージを宣伝していた。(ちなみに、BMWが現在開発中の最新エンジンは、460馬力もの石油消費による環境破壊力を謳っている。広場に展示されていたのは、同社の比較的低公害車のみ。)

パウエル国務長官は、ブッシュ大統領がテキサスの牧場でバカンスを過ごすというので、代理のアメリカ全権代表としてサミットに送り込まれた。デンマークの20のNGO団体で構成される「デイニッシュ92グループ」とグリーンピースは、全世界が一丸となって、懸命に地球の未来を救おうと努力しているなか、大牧場でのんびりとバカンスを楽しんでいるブッシュ大統領に暑中見舞い葉書を送った。

AP通信はグリーンピースが会議から退席したと誤って報道したが、グリーンピースのスティーブ・ソイヤーは「私たちには、密室でなにが行われているかを広く人々に知らせる義務があります。たしかに、ここにとどまることは私たちのこの会議に対する嫌悪感を正確に反映するものではありませんが、私たちは私たちに与えられた義務をないがしろにするつもりはありません。」と語った。グリーンピース・インターナショナルの事務局長ゲルト・レイポルトは「ここに来るということは、歯医者に行くようなものだ。誰も好んで行きたくはない。でも行かなければ症状がもっと悪くなる。」と付け加えた。

今朝、ダーバンの街でグリーンピースは、政治がヨハネスブルグで果たせなかったこと−行動を起こした。"今こそクリーンエネルギーを"と書かれたバナーを石油大企業のシェルとBPが共同運営する精油施設で掲げた。

グリーンピース・アクション・ユニットのメンバー5人は、石油精製施設に繋がっているオイルパイプを支えている高さ30メートルの橋架にクライミング装備で挑み、パイプの上から巨大なバナーを掲げた。ボロボロになったパイプは、隣接地域のど真ん中を横切っている。この石油精製施設とその周辺地域は、頻繁に起こるオイル漏れや有害物の大気放出で広く知られている。しかし、シェルもBPも、地元住民の健康被害にたいする責任を認めることを拒んでいる。

この行動は、再生可能エネルギーの真の恩恵を阻む大企業の支配に対してこの1週間のあいだ展開されてきた、世界的抗議行動の一環として行われた。サミット直前には、各国に再生可能エネルギーを導入する政策を打ち出すよう求めて、ヨハネスブルグの北に位置するコーバーグ原子力発電所から"原子力発電はアフリカから出て行くべし"というバナーを掲げ、原子力発電の危険性を訴え、サミットのオープニングを飾った。「コーバーグ発電所でのアクション以降明らかになったことは、法律を破ったのは何もグリーンピースだけではないということ。発電所の所有者エスコムが、過去何回安全指針、避難手続き、警備態勢に関する違反を犯してきたか、当局はきちんと捜査するべきです。そうすれば、このアフリカ大陸最初の原発がなぜ、アフリカ大陸最後の原発とならなければならないかが明らかになるでしょう。」と語るのは、グリーンピースのマイク・タウンズレー。

この他、グリーンピースは世界中の街角、大自然、大空を舞台にサミットを訪れている代表団がいかに私たちの希望と環境の悲鳴を無視しているかを知らしめてきた。東南アジア、タイのランパンの町では、メーモ炭鉱の上空に"地球温暖化を阻止せよ"という気球が大空を舞った。ケープタウン沖の海上では、猛毒のプルトニウムを日本から運び出して輸送中の船を追跡した。フィリピンのマニラでは、フィリピンの投資家団体に化石燃料への投資を断念するよう求めるための署名活動を展開した。オーストラリアの政治の中心地では、グリーンピース・アクション・ユニットのクライマーたちが、国旗の掲げられているポールに、"気候変動を食い止めろ"というバナーをはためかせた。南米のチリでは、ビニャ・デル・マーの原油精製所の上空に気球が飛んだ。そして、ヨハネスブルグのサントンでは、少年少女で編成された「もうひとつのグリーンピース代表団」がBMWの展示物の前で気候変動に対する勇気ある行動を示して警察に排除された。

今後、各国政府が貧困と気候変動に対する対策を渋って行動に躊躇すればするほど、国際社会は抗議の声を高め、変革を自らの手で実現しようと立ち上がるだろう。

最新ニュース
アメリカ、終わり間際のわがまま

ヨハネスブルグ・サミットの最後の最後になってアメリカは、サミットの「実施計画」を骨抜きにしようとする動きにでた。企業責任と生殖権についての審議の真っ最中、アメリカ交渉団は「解釈声明」を読み上げはじめ、アメリカは実施計画を実行する義務を感じていないと表明した。さらに企業責任を確立するための新たな協定書の採択は誰も必要としてはいないだろうとして、ヨハネスブルグ以前から既に存在した文書の条文のみに合意するよう求めた。現在の条文では、企業責任を確立するのにははるかに及ばないという広い国際的意見が支配的になっているのにも関わらず、アメリカはこの要求を出してきたのだ。サミットに対するこの要求は、アメリカ国内でブッシュ大統領自身が推進している企業責任強化にも完全に矛盾している。

「まったく信じられない。でもこれはアメリカの常套手段です。」と語るのは、グリーンピース・インターナショナルの政治部長レミ・パルメンティア。「アメリカはサミット開幕前からずっと、交渉を最小限のものにとどめるため、あれこれと策略をしかけていた。国際社会はアメリカの参加を必要としていたので、アメリカのいうがままになっていた。アメリカはそれでもあき足らず、ここへきて自分たちの都合のいい合意だけを選ぶことのできる"ア・ラカルト方式"(選択方式)を取り入れるなどと宣言し始めた。パウエルは、アメリカは政治体制がしっかりしていない国に対しての援助はしないなどと、今日、言明した。何を言うか。しっかりした政治体制というのは、まず、国際社会の合意を尊重することから始まるのである。アメリカは、国際社会が長い努力の末、合意した協定を自国の都合で無力化したのみならず、平然とそれを嘲弄することまでしているのだ。」

これに対抗して、EUヨーロッパ連合を中心とした十数カ国から成る"やる気のある国の連合"は、ヨハネスブルグ・サミットに対する失望を表明したうえで、「再生可能エネルギーの前進へ向けて」という合同声明を発表した。

「この声明は、ヨハネスブルグ・サミットの成果ではない。サミットの挫折に対する回答だ。でも、このサミットがもたらした最も重要な結果になるかもしれない。OPECに匹敵する、再生可能エネルギーの共同体が生まれるかもしれない。」とパルメンティアは語った。

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