2002年8月28日付
【2002年8月28日、タイ/バンコック】 世界の首脳陣がヨハネスブルグ・サミットで言い訳を並べ立てている中、タイは各国の代表団が不可能だと言っていることを実行している。 タイは環境負荷の大きい従来エネルギーを棄てて、再生可能なクリーンエネルギーの道を選択した。
タイ政府は、気候変動に対応するための国際的合意である京都議定書を批准することを決定したというよい知らせを携えて、ヨハネスブルグ・サミットに乗り込んでくる。しかし、タイの再生可能エネルギーへの取り組みはもうとっくに始まっている。タイの都市ボノックは、グリーンピース、アークティック・サンライズ号の国際色豊かな乗組員の支援を受けて、地元の寺院に再生可能エネルギーを供給するための風力タービンの設置を開始した。ボノックと、近隣のバンクラットの住民は過去8年間にわたって、米エジソン社やガルフ・エレクトリック社*などの多国籍企業連合によって提案されている石炭発電所に、反対するキャンペーンをくりひろげてきた。(*ガルフエレクトリック社に49%の出資をしているのが日本の電源開発(株)である。) 地元の活動団体“ラブ・ボノック”の代表、チャロエン・ワタクソーンさんは、地元はエジソン社の石炭発電所などは必要としていないと言う。「電気は欲しい、でもエジソン社が建設しようとしている、環境を汚すような発電所は欲しくはありません。ヨハネスブルグに集結している世界の指導者たちは、ボノックの町など聞いたことがないかもしれません、でも私たちのような小さな町であっても、石炭発電を拒否できるということを、その目で確かめに来てみるとよいでしょう。私たちはきれいなエネルギーを求めているのです。地元は開発に反対しているわけでも、エジソン社を敵視しているわけでもない、もしも、エジソン社が再生可能なエネルギー施設を提案するのなら歓迎する」とワタクソーンさんは言っている。「ヨハネスブルグにいる指導者たちには、開発というものが地域全体に及ぼす影響というものを、実際の目で見て知ってほしい。多国籍企業の経済的関心や収益性だけを考慮するのではなく。結局、エネルギーとは人が使うためのものなのですから。」
ボノックの石炭発電所建設計画の背後には、環境対策に最も後ろ向きな3カ国が控えている。エジソン社の提案している734メガワットの発電施設は、オーストラリア企業のニュー・ホープが所有する、インドネシアのPTアダロン炭鉱から輸入する石炭を燃焼させて発電する予定になっている。また、バンクラットの1400メガワットの発電所建設計画を提案しているのは、ユニオン・エナジー(タイ)ホンコン電力(香港)、そして日本のトーメン、豊田通商、中部電力が出資するタイのユニオン・パワー・ディベロプメント社である(日本の3社を併せると全体の59%を出資している)。計画されているバンクラットの発電所に使用される石炭の80%は、オーストラリアから輸入されることになっている。残りの20%は、インドネシアと南アフリカから輸入する予定だ。予定されているボノックとバンクラットの発電施設が運用する技術は、エジソン社の本社があるアメリカのカリフォルニア州では環境基準を決してクリアすることができないような代物である。それにもかかわらず、エジソン社は20億ドルもの資本を投入して、環境と人間にダメージを与える施設を建設しようとしているのである。
ボノックの住民が過去8年間抵抗してきたような、環境に負荷の大きい建設計画は開発途上国ではめずらしいことではない。アメリカ,カナダ、オーストラリアなどの先進国は、開発途上国のエネルギー需要を援助するなどと甘い言葉を吐きながら、実際には原子力や石炭燃焼など、先進国はすでに放棄した、危険で、汚染を引き起こすこうした技術を途上国に押し付けている。
タイの電力需要は上昇している。しかし、それを石炭火力でまかなう必要はない。石炭火力発電はコストがかかる上、環境に深刻なダメージを与える。たとえ現在の電力需要が2倍になったとしても、2020年までには全体の電力需要の35%を再生可能な代替エネルギーによってまかなうことができるタイで、あらたな石炭発電所を建設しようとすることは全く不合理であるとしかいえない。タイ政府はヨハネスブルグの環境開発サミットに集まった世界の首脳らに、環境に甚大な影響を与えるテクノロジーを廃棄して、再生可能でクリーンなエネルギーを導入することこそが未来を保証するのだというお手本を見せている。アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本はタイの先進性にならい、気候変動を引き起こしている要因と闘おうとする努力を妨害するのを止めて、京都議定書の批准と発効を急ぐことに全力を尽くすべきである。
ヨハネスブルグ・サミットに集まった世界の政府に対してグリーンピースは、電力を必要としている20億の人々に手ごろな再生可能エネルギーを提供する約束をし、2010年までに世界のエネルギーの10%を再生可能資源に転換することを要求している。口先ではなく、実際に行動することが世界の指導者たちに求められている。グリーンピースは世界の指導者たちに対して、化石燃料産業及び原子力産業への補助金を廃止し、また、世界の金融機関に対しては、エネルギー産業全体への投資額の20%を再生可能なクリーンエネルギーへ転換投資することを求めている。
詳しくはグリーンピース・ジャパンホームページ、ヨハネスブルグ・サミットサイトをご覧下さい。
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気候変動問題担当:関根彩子
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