2002 年2 月11 日
持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ地球サミット)
第2回準備会合

【内容紹介】
今日25日から、ヨハネスブルグ地球サミットへ向けた第3回準備会合が始まります.前回(第二回)の準備会合(1月28日〜2月8日於ニューヨークの国連本部)は、各国政府及び産業界、自治体、NGO等の参加した世界規模の会合となり、その最後に議長が「議長ペーパー」を提示しました.この議長ペーパーは、地球サミットの合意文書のたたき台となる文書で、今回の第3回準備会合(3月25日〜4月5日)では、その内容について政府間の交渉が本格的に行われます。

この準備会合に向けて、グリーンピースは、「議長ペーパー」への所見を提出しており、エネルギー・気候変動に関連した部分について抄訳を掲載します.グリーンピースでは地球サミットに向けて、特にG8諸国に対して、再生能エネルギーの迅速で大幅な導入を強く求めています.

I 序論
II 貧困撲滅
6.現在、近代的なエネルギー関連サービスを利用することのできない20 億人の半分の人々が、2015 年までにそうしたサービスを受けられるようにするため、農村の電化や地方分権エネルギー・システムを通じ、財政・技術援助における協力をはじめとする地域・国際協力を強化することによって、農村・都市周辺地域における近代的エネルギー関連サービスへのアクセスを向上させる。
「近代的なエネルギー関連サービス」が、環境汚染の少ない、持続可能なエネルギーによるものと特定されるのであれば(そして、京都議定書のクリーン開発メカニズムの枠組みにおいて"クリーンな"エネルギーに原子力発電が除外されていることを留意するならば)、グリーンピースはこの提案を強く支持する.このパラグラフについて、グリーンピースはヨハネスブルグ地球サミット第3回準備会合で、「主に途上国の農村や遠隔地に住み近代的エネルギー関連サービスへのアクセスのない20億人の人々の半数に、2015年までに再生可能エネルギーおよび、効率がよく環境負荷のすくない従来型エネルギーを供給するために、地球規模の連携を作り上げる」という表記に戻すことを提案する.これは前回第2回会合の第一週と第二週の間で作成された表記である.


III.持続性のない生産消費パターンを変える

21. 2012 年までに先進国のエネルギー効率と資源効率を4 倍にする。
グリーンピースはこれを支持する.


28. 再生可能エネルギーのための技術を開発して普及し、エネルギーの生産消費における再生可能エネルギーの割合を引き上げ、エネルギー効率の高い技術の開発、普及、利用を促進する。
そのとおりであるが、特定の目標が記されていないため、パラグラフ6と相互補完的なものとする、あるいはパラグラフ6と統合すべきである.


30. よりクリーンで効率の高い化石燃料技術の開発と革新的な技術によってエネルギー供給を多様化し、全ての国で2010 年までに再生可能な新エネルギーの全使用エネルギーに占める割合を少なくとも5%まで引き上げる。
5%というのは歓迎すべき数値である.しかし、OECD諸国にとってはこの数値はさらに高く設定すべきである.たとえば、2010までに12%というEUの削減目標との整合性がなければ、包括的なものにならないからである.グリーンピースはOECD諸国の政府は国内の再生可能エネルギー導入目標を10年以内に最低でも20%に設定すべきであると考えている.この目標値が技術的にも経済的にも現実的であることは実証されている.さらに、気候変動に対処するというリオのコミットメントをOECD諸国の政府が果たすためには、こうした目標が必要である.


31. 地域的および国際的な協力の強化によって、特に都市および産業用の天然ガス使用を促進し、またガスのフレアリングをなくすよう促す。
確かに天然ガスには石炭、石油、原子力と比べて一定の利点はあるものの、このパラグラフで提案されているような天然ガス利用の推奨をすると、パラグラフ6に記されている提案の実施が台無しになってしまう.最初の例示としては基本的に、エネルギー効率と再生可能エネルギーを上げて推奨するべきである.しかしながら、ほんの短い期間のオプションとしてのみ炭素含有の少ない化石燃料へと一時的に移行することは、推奨されて良いだろう.尚、ガスのフレアリングは資金の浪費に他ならない.


32. 税制改革と弊害のある補助金の段階的廃止を含め、エネルギー部門における市場の歪みを軽減する政策を採用する。
現在従来型エネルギー(主要な化石燃料および原子力)への補助金は少なくとも年間2500-3000億ドル[約32.5-39兆円]と推計されるが、すべての政府は10年以内に従来型エネルギー資源への補助金を段階的に廃止することを公約するべきである.これには、途上国の経済がダメージを受けないよう保証する移行計画を伴うものとする.


33. 産油国と消費国間の協力を促進して、国際市場における需要と供給の不安定性を軽減する。
世界は、京都議定書の批准と発効をもって二酸化炭素排出を抑制する社会へと移行しようとしているのであり、このようなやり方は、ある条件下では不適切であることは間違いない.産油国と石油消費国との間の協力は、基本的に双方が石油への依存を少なくしてゆくことを目標とするべきであり、また、気候変動に直面しているという現実に照らして、こうした両方の国々を化石燃料に依存しない未来へと移行させてゆくことを目指すべきである.言い換えれば、再生可能エネルギー技術の拡大こそが、産油国と消費国の取引による石油価格の不安定性から消費者を保護してくれるのである.


34. 化石燃料の輸出と消費に大きく依存している開発途上国に対して、経済の多様化を支援する。
経済開発協力機構(OECD)諸国の政府は、エネルギー分野での貸付や途上国支援の20%をまず目標として、再生可能エネルギーの開発とエネルギー効率向上のプログラムに対して投資することを輸出信用機構を経由して保証するべきである.同時に各国が出資する国際金融機関のすべてが同様の約束をするよう保証し、5〜10年以内に、再生不可能な、すなわち従来型のエネルギーに関する支援を段階的に廃止するべきである.


35. エネルギーと持続可能な開発に関する、持続可能な開発委員会(CSD)の第9 回会合におけるその他の勧告と決定を実施するために、国際社会による財政・技術支援を促進する。
たとえばエネルギー効率向上と再生可能エネルギー技術への支援など、持続可能な開発委員会の第9回会合の勧告に含まれる内容の多くをグリーンピースでも支持している.一方、同勧告には開発の拡大や、より高度な化石燃料技術の推進に財政支援をするといった提案も入っており、これに対しては、グリーンピースは、これらの施策よりも、もっとエネルギー効率や再生可能エネルギーの促進に向けるべきであると考える.


36. 開発途上国と移行経済国へ財政・技術支援を行い、多様な形態の公共輸送制度の開発への投資を促進する。
グリーンピースは、開発途上国と工業先進国の両方で公共輸送制度を促進するという、前回の準備会合(第二回)でトルコ政府の出した意見を支持する.


37. ある特定の国や地方の状況を反映する輸送戦略を実施する。それによって、都市の大気と公衆衛生の改善だけでなく、輸送の効率性と利便性を改善する。これには環境に優しい自動車とクリーンな燃料の使用による改善も含まれる。
前パラグラフ36との関連性から、グリーンピースはこれを支持する.さらに、"クリーンな"燃料には、気候変動に加担しないものを優先的に考える必要がある.


40. エネルギー効率とエネルギー保全を向上させ、さらに「京都議定書」のクリーン開発メカニズムの恩恵を受けられるよう、開発途上国と移行経済国のために能力開発と技術移転を促進し、それと同時に気候変動を緩和し、持続可能な開発を促進する。
原子力を、京都議定書のクリーン開発メカニズムから確実に除外することについて言及が必要である.


IV. 経済・社会開発の基礎となる天然資源の保全と管理
この章では欠如しているが、ヨハネスブルグ地球サミットにおいて注目し、対策をとるべきとグリーンピースが考える点がいくつかある.その中で、エネルギーに関連するものとしては以下が上げられる.

各国政府が二酸化炭素を海洋への投棄あるいは"隔離"するという計画を支持するべきではない.主たる理由の一つは、世代間の平等の原則を侵害するおそれがあるからである.


62. エル・ニーニョ/ラ・ニーニャとその他の周期的な気象現象の影響、およびその他の水害のリスクを緩和するために、中・長期的な行動と早期警戒体制を含む地域戦略を促進する。
エル・ニーニョ現象など極端な気象パターンの頻度の増加と、人間活動により助長される気候変動との相関関係の調査を更にすすめ、当該地域において緩和措置を適用する必要性についても言及すべきである.


63. 気候変動の影響を受けやすい国々に対して、その影響を緩和するために財政・技術支援を行う。早期警戒体制を構築する。「国際防災戦略」の目的と関連して、災害に見舞われたコミュニティーの再建を行う。
グリーンピースはこれを支持する.


64. 世界的な早期警戒ネットワークの核として世界的な早期警戒メカニズムを構築する。このネットワークでは国・地域・国際的メカニズムを統合すべきである。
65. 人的・経済的損失の軽減のために、災害への備え、災害の緩和、災害に対する脆弱性の評価と軽減、災害に対する適応戦略、国内の能力開発およびその他の措置を促進する。
66. 災害の効果的な緩和とリスクの軽減のために、国際的な共同観測・研究および科学的な知識の普及を促進する。
パラグラフ64〜66を、63と統合できないかとは思うものの、グリーンピースはいずれも支持する.


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68. 「ミレニアム宣言」に従って、2002 年に「京都議定書」が発効するようあらゆる努力を払う。
グリーンピースはこれを全面的に支持する.そして、米国に批准の能力や意思があるかどうかに左右されずに、各国は議定書を批准するべきであると、グリーンピースは強調する.京都議定書が、米国の批准抜きでも発効すれば、米国の敗北となるからである.米国の批准まで他国も批准を控えるという発想は、エクソンなどの石油メジャーを除き、誰の興味も引かない。


69. 「気候変動枠組条約(UNFCCC)」と「京都議定書」の実施のために開発途上国を支援する。この際に、マラケシュで開催された第7 回締約国会議における閣僚宣言を考慮に入れる。
グリーンピースはこれを支持し、さらにEUおよびその他の政府がこのとおりに振舞うことと信じている.


70. 気候研究プログラムと世界的な気候観測システムを支援し、科学的能力を育成し、科学的データおよび情報を交換するためにネットワークを構築する。
こうした取組みが、温室効果ガスの削減という公約を実行しない、あるいはすり替えるための口実として使われない限りにおいて、グリーンピースはこれらの取組みを支持する.


71. 適応戦略を開発し、さらに気候変動と海面上昇の影響を受けやすい開発途上国がこうした現象に適応するために財政・技術支援を行う。
京都議定書の下、技術移転と適応資金について迅速な確立と財政支援が同様に必要である.


72. 北極圏、特にそこで生活している先住民に対する、気候変動の環境面、社会面、経済面の影響を評価するイニシアティヴを支援する。
グリーンピースはこれを支持し、現象に適応するために必要な援助を彼らが得られるような公約を求める.


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73 越境大気汚染と酸性雨の軽減のための地域的、準地域的協力を促進する。越境大気汚染が及ぼす影響の観測と評価のために開発途上国の能力を強化する。
グリーンピースはこれを支持する.しかし最良かつ最も効果的な方法は、「より環境汚染のない再生可能エネルギーと、クリーンプロダクションとを通して越境大気汚染を削減すること」であるということを指摘しておく.


74. オゾン層保護に関する「ウィーン条約」と「モントリオール議定書」において設置されたメカニズムを強化し、開発途上国が「モントリオール議定書」に基づくオゾン層破壊物質(ODS)の削減スケジュールを遵守するのを支援するために、2010 年までに開発途上国へ、入手可能な価格で、アクセスしやすく、費用対効果が大きく、安全で、環境上適正なODS の代替物質を提供する。
各国政府は、強い温室効果をもつ代替フロンHFCや、オゾン破壊係数のある新たな物質(たとえば有毒な1-ブロモプロパンなど)へ、新たな投資をすべきではない.グリーンピースは、以下のような修正を加えた上であれば、このパラグラフを支持する."…開発途上国へ、入手可能な価格で、アクセスしやすく、費用対効果が大きく、安全で環境上適正であり、尚且つそれらが地球温暖化や生物圏への有害物質の蓄積に大きく加担することのないオゾン層破壊物質(ODS)代替物質を提供する"


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VI.健康と持続可能な開発 120. 伝統的な調理と暖房の習慣がもたらす影響による呼吸器疾患とその他の健康問題を軽減するために、開発途上国に財政・技術支援を行って、地域、国レベルの計画を強化する。
より環境汚染のない、再生可能なエネルギーを、世界でも最も貧しい20億の人々が教授できるようにする、という公約がなされるならば、このパラグラフに挙げられた疾患や健康問題の軽減にも好影響をもたらすであろう.


134. 2004 年までに持続可能なエネルギーに関する世界的な計画を策定するよう拍車をかける。これには国連システムを通した計画も含まれ、SIDS の持続可能な開発を促進するために、再生可能エネルギーを含め、十分な量でかつ入手可能な価格の環境上安全なエネルギーの利用を可能にする。
グリーンピースはこれに同意するが、再生可能エネルギー以外にどのような環境上安全なエネルギーが存在するのかという疑問を呈しておく.


138. 異常気象だけでなく気候変動へも適応するために、脆弱な国々があらゆる資源を集めるのを支援する世界的なイニシアティヴを推進する。
そのとおりである.京都議定書に示されたメカニズムをはじめとして、しかしそれらが始まりに過ぎず、不十分であることを認識することが必要である.


149. アフリカの特に農村地域のために、入手可能な価格の多様なエネルギー源へのアクセスを2005 年までに達成するという世界的なイニシアティヴを推進する。
冒頭に"再生可能エネルギーを優先的に"を加え、「入手可能な価格の」のあとに"持続可能な"を挿入するべきである(これらは、貧困の撲滅と同時に、環境的にも、生産性という観点から重要である).


163. 変動の激しい短期資本移動の管理における役割だけでなく、国際金融機関の貸出政策も改善する。その目的は、この政策と役割が開発途上国の持続可能な開発という目標に 対して整合性を保ち、矛盾しないようにすることである。
殊に、国際融資機関はエネルギー分野での貸付の20%をまず目標として、再生可能エネルギーの開発に対して投資し、従来型のエネルギーへの支援を5-10年以内に段階的に廃止することを約束するべきである.


171. 最終的には段階的撤廃を行うことを視野に入れ、輸出補助金と貿易歪曲的な国内助成措置を削減する。
殊に、すでにこの文書の他のパラグラフでも述べたとおり、現在の従来型エネルギー源への補助金は年間2,500-3,000億ドル(32.5-39兆円)と推計され、エネルギー市場を歪めてきた.こうした補助金は10年以内に段階的に廃止されるべきであり、途上国が経済的なダメージを受けないような移行計画とともに実施される必要がある.