(作成:2001年11月)
モロッコのマラケシュで開催された第7回締約国会議(COP7)そしてそれに先立つ2度の 締約国会議 で達成されたこと、されなかったことについては、今後も多く論議を呼ぶことだろう。が、大事なことは、京都議定書の仕事が6年半の交渉の後に、完了したことでである。京都議定書が97年に議定書が採択されて、その翌年から始った議定書の実施ルールに関する
長い議論の末、ルールの主要な事項の決定はマラケシュで終了をみた。 アメリカ、カナダ及びオーストラリアが国内政策に執着し、議定書に後ろ向きであることを別にすれば、京都議定書の批准に対する障害はもはやなくなったのである。日本とロシアは京都議定書への批准の意志を示しており、EU*と東欧、中欧の国々も同様に批准の方向を見せている(* 2002年3月4日 EU環境閣僚が公式に批准することを決定)。
京都議定書は実施ルールが決るまでの最後の12ヶ月で多くのダメージを受けてしまった。たとえばアメリカの実質的な撤退により、その有効性が弱まり、それに加えてCOP6再開会合(ボン)での吸収源(シンク)を認める決定は二酸化炭素の排出の影響をさらに小さく評価されるようになった。そしてCOP7では吸収源によって削減量として認められる枠をロシアがさらに増やしてしまった。
それでも、評価すべき点も問題点も踏まえた上で、この実施ルールは温室効果ガス排出をコントロールする屋台骨となりえたといえる。ただ、土地利用の変更と森林からの排出の報告システムのガイドライン(2002年に議論される)という大きな問題は残ってしまっている。
2002年の夏のヨハネスブルグ地球サミットで京都議定書を発効させることが必要である。
2年〜3年先、そして2003年あるいは2004年までにスタートする第2の約束期間の交渉を見越して、京都議定書で表立つ主な事項は、クリーンな実施である。これは、吸収源を使わず、ホット・エアを使わず、質の高いクリーン開発メカニズムの実施計画をつくることである。各国が特に京都議定書実施を目指して法律制定に動くにつれ、再生可能エネルギーへ代替する主要な機会となるはずである。
・吸収源は最大の問題である。
吸収源が使われれば使われるほど、再生可能エネルギーや化石燃料削減を求める圧力は弱まっていくおそれがある。
もし吸収源が使用されれば排出が増す上、どのくらい使用されるか、その限度さえわからない。
最悪のシナリオでは、今後数十年間に渡りの排出削減の努力に無に帰するおそれさえある。第二次約束期間にむけての交渉ではこの吸収源のかかえる危険性をなくしていくことが必要である。
CDMは成立したものの、注意深く監視する必要がある。というのは、ベースラインに関しては自由裁量になっており、すでに濫用されはじめているからである。排出取引の骨子は同意され、共同実施の規則も確立されているが、これらも厳しく監視していく必要がある。CDMを厳密に運用し、確実に高度な水準を保つようにすることが不可欠である。クリーン開発メカニズムの吸収源は実質的で政治的な問題があるだろう。来年には産業的な炭素吸収農園を作るために原生林を伐採するといった問題を防止するための規則も必要になってくる。
次の2年間での国際的な気候交渉での主要な駆け引き(2002年のヨハネスブルグ地球サミットとは別に)は、京都議定書の実施と、議定書の第2約束期間の交渉への準備とを舞台として行われていくだろう。京都議定書(COP/MOP1)の締結国最初の会議は2003年ロシアとみられている。その前にはニューデリーで2002年COP8がある。2002年と2003年の国際的な交渉を検証するための1つのやり方は第2約束期間のための準備期間を点検することだ。最初の締約国会議では検討するべきことが多くあるため、第2約束期間についての実質的な交渉を始めることにはならないだろう。しかしそれらの交渉に関する項目は合意しなければならないだろうし、その結論に関する時間枠にも合意しなければならないだろう。こうした事項に関する準備はCOP8に始まることになろう。