2008-2012年の間(第一約束期間)に温室効果ガスを1990年レベルより6%削減するという、京都議定書で日本に課せられた目標を達成するため、政府が「具体的な裏付けのある対策」として、策定したのがこの新しい「地球温暖化対策推進大綱」である.
しかし、グリーンピース・ジャパンは、この大綱には
といった点で次のような問題があると考える.
削減目標を達成するための主たる手段はエネルギー効率向上プログラムと、再生可能エネルギーの供給能力を早急に向上させることであるべきである.新しい大綱に見られるような、削減目標のほとんど(5.9%)を「森林吸収」と「技術開発」および「国民の努力」に頼っている配分は不適切である.
大綱では森林吸収という不確実な手段に、「3.9%」と目標値の大半を頼っており、「具体的裏付け」として極めてお粗末である.森林吸収による数合わせに頼れば頼るほど、二酸化炭素の排出削減を免れることができてしまうため、実質的な削減手段としては信頼性がない.また再生可能エネルギーや化石燃料削減を推進しようという圧力が弱まっていくおそれがあり、不適切である.
提案されている技術開発の中に含まれている二酸化炭素の固定化・貯留は、環境的、コスト的妥当性に疑問があり、将来の対策として依存すべきではない.日本を含む「G8再生可能エネルギータスクフォース」の出した報告書(2001年7月)は、世界的に再生可能エネルギーの大幅な導入と拡大を阻む障害として、財政的支援が不十分であることや、政治的一貫性がないことを主として上げている.日本国内も同様で、革新技術を待つばかりでなく、すでにある再生可能エネルギーと、エネルギー効率向上プログラムが迅速に普及できるような財政的、政治的援助を講じることが重要である.
化石燃料代替エネルギーの選択肢として、他の環境問題を助長したり、また二酸化炭素発生を増加させるような以下の手段は排除すべきである.
新エネルギーについては、再生可能エネルギーのみと定義づけ、廃棄物焼却による発電は含めるべきではない.廃棄物焼却、ことに石油起源であるプラスチックの焼却は、明らかに二酸化炭素発生をさらに促進する上、様々な有害化学物質の排出などの汚染を伴い、化石燃料に代わる環境負荷の少ないエネルギー源ではない。また、エネルギー源として廃棄物焼却に頼るしくみができると、廃棄物削減や再使用がおろそかになる危険がある.
新しい大綱では、2010年度までに原子力発電の発電量を2000年度比3割増加と見込んでいる.原子力発電は、放射能被爆や汚染の問題、および、放射性廃棄物の安全な処分方法が確立しておらず、さらに核拡散の危険もはらんでいる。よって、原子力発電は廃止の方向へ向かうべきであり、拡大は論外である.原子力発電への政府の補助金も段階的に廃止すべきである.
ヨハネスブルグ地球サミットの第3回準備会合の議長ペーパーには、「全ての国で2010 年までに再生可能な新エネルギーの全使用エネルギーに占める割合を少なくとも5%まで引き上げる。」と記されている.
すべての国で5%というのは確かに高くみえる数値である.が、技術的経済的条件を考えればOECD諸国はこの数値をさらに高く設定できるはずである(グリーンピースは、OECD諸国の政府は国内の再生可能エネルギー導入目標を10年以内に最低でも20%に設定することを求めている).
危険な気候変動を回避するために必要な「今世紀半ばまでに60-80%削減」という目標を念頭に、大幅な削減目標を第二約束期間に設定することが必要である.
今後2年の間に、国際社会は第二約束期間の準備に入ることになる.2013年から17年までという第二約束期間には、その削減幅を、第一約束期間とくらべてかなり大きくとることが危険な気候変動を回避するための鍵となる.なぜなら、米国が議定書に参加しないこと、および条約の抜け穴により、先進国全体で合計5.2%という削減目標にも達しないおそれがあるからである.
グリーンピースは、日本政府が欧州連合諸国とともにリーダーシップをとり、第二約束期間への見通しを開くことを期待する.そのためにもエネルギー効率向上プログラムと、再生可能エネルギーの供給能力の迅速な拡大に直ちに着手し、第一約束期間の目標達成を確実にするべきである.
2002年4月
以上