Ustream「週刊グリーンピース」で北極の環境調査を紹介!
グリーンピース・ジャパンのUstreamプログラム、「週刊グリーンピース」で、北極海の環境調査を紹介しました。今日のランチタイムの生放送を見のがした方、こちらからどうぞ!
メソコスムのことも図解で説明しています!
http://www.ustream.tv/recorded/8263253
グリーンピース・ジャパンのUstreamプログラム、「週刊グリーンピース」で、北極海の環境調査を紹介しました。今日のランチタイムの生放送を見のがした方、こちらからどうぞ!
メソコスムのことも図解で説明しています!
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一日の仕事が終わると船のラウンジでギターを弾き、ときには首から吊るしたハーモニカも吹きながら歌を歌って、私たちの疲れを癒してくれるジョー・エバンス(Joe Evans)は、今回の北極調査のエスペランサ号船長です。
1983年からグリーンピースの船に乗り、核問題、原生林保護、有害物質問題など、さまざまな活動で世界中を航海してきました。一方、私生活では子育てを終え、30年来考えていたことを4年前から少しずつ実現し始めました。それは、持続可能で自立した生活を実現すること。
生まれ育った英国の家を引き払い、スペインのアンダルシア地方のほとんど砂漠のような乾燥地帯に2ヘクタールの土地を購入。夫婦で小さなエコハウスを手作りすることから始めました。太陽エネルギーによって完全に電力をまかない、地下100m掘って地下水を引き、いまではさらにもう一軒の家を建てて、アーモンド、オリーブほか無農薬野菜を育て、自立した生活を手に入れました。来年の4月には、自宅を公開して持続可能な農業と暮らしについて教えるコースを始めるそうです。海でも陸でも、エバンス船長の持続可能を追求する旅は続きます。
写真: 長い一日の仕事を終えてキャビンでメールをチェックするエバンス船長
(c)Nick Cobbing / Greenpeace 2010年6月北極海、エスペランサ号船内
「海洋の酸性化」――聞き慣れない言葉ですが、科学者のあいだでも注目されるようになったのはつい数年前、2004年にパリで開かれた海洋会議以来のことだそうです。それまで二酸化炭素(CO2)を人工的に海洋投棄した場合の影響については研究されていましたが、自然に吸収されたCO2が海にどんな影響をもたらすかは研究対象として注目されておらず、この会議のときに初めて使われた言葉だといいます。
今回、グリーンピースが協力して海洋酸性化の調査を行ったドイツのライプニッツ海洋研究所の科学者でプロジェクトリーダーのウルフ・リベセル教授(写真)によると、この調査が世界で最初の、かつ最大の海洋酸性化調査になるそうです。33日間におよぶ調査のあいだ、12人の科学者たちは毎日交代で海中に設置したメソコスムに自分たちでゴムボートを運転して通い、観察を続けてきました。その結果、「一日も失敗なく、完全に満足する結果を得られた」とのこと。
地球上で発生したCO2の45%は大気に、35%が森林に(ただし地球上の森林が減っているので、この数字は変化しています)、25%が海に吸収されています。CO2が海に吸収されると、化学変化によって海水が酸性化します。海水が酸性化すると、サンゴや甲殻類の成長に欠かせない石灰化が難しくなり、結果的にこれら生物の減少につながる危険性があります。大気へのCO2排出がこのまま増え続けると、2060年にはいまより120%も海水の酸性度が増すと予測されています。そのとき地球環境全体に何が起きるのか――。 リベセル教授らは今回の調査結果をまとめ、科学雑誌に発表するだけでなく、来年4月にジュネーブで開かれるヨーロッパ最大の自然科学会議、欧州地球科学連合(EGU)の特別セッションで発表する予定です。この会議は、世界から約10,000人の科学者が参加するもの。
『ナショナル・ジオグラッフィック』誌のジャーナリストも2人、取材に来ており、来年にはこの調査が同紙に掲載される予定ということですので、世界中で「海洋の酸性化」が話題になるかもしれません。
(c) Nick Cobbing / Greenpeace
メソコムスの回収作業をするエスペランサ号
Norway,
Svalbard 2010/07/07
エスペランサ号は4週間にわたる北極海での海底調査を終え、7月5日、スバールバル諸島最北の町ロングヤーベンに戻りました。スバールバル諸島ではここが唯一、インターネットの通じる場所。4週間ぶりにインターネットに接続できることに数日前からワクワクしていました。ニュースを読めること、写真を送れること、家族と話せること……。次の出航までのわずかな時間を、インターネット接続と陸上を歩くことの2つの楽しみに費やしました。
そしてここで中国、ドイツ、日本、ブラジルからのジャーナリストが乗り込み、翌日、今度は海洋の酸性化調査を行っているニーオールセンへ10日間の旅に出航しました。
ニーオールセンでは、ドイツで最大の海洋研究機関のひとつ、IFM-GEOMAR(ライプニッツ海洋研究所)の科学者数十人が滞在し、5月末から酸性化調査を続けています。エスペランサ号によってドイツから運ばれて設置された9つのメソコスム(Mesocosms)と呼ばれる装置で、二酸化炭素を現在の濃度(〜385ppm)から来世紀中盤に予測される濃度(〜2500ppm)までさまざまなレベルで送り込んで酸性度の違う海水を作り出し、さまざまな生物の変化を観察して、二酸化炭素の濃度上昇と海水の酸性化によりどのような影響が現れるかを調査しています。
ニーオールセンに到着したその日の朝、さっそく調査最終日のメソコムスへゴムボートで訪問しました。先方もゴムボートで、実験中のIFM-GEOMARの科学者たちが笑顔で迎えてくれ、調査が非常にうまくいったことを話してくれました。33日間におよぶ調査が終わり、明日はエスペランサ号で高さ8メートル、重さ2トンのメソコスムを引き上げて船上に移します。
写真:メソコスム(Mesocosms)とデータを収集する科学者たち
(c) Nick Cobbing / Greenpeace 2010年6月北極海
今回の北極海でのトロール漁業による影響調査をリードしているフリーダ・ベンソン(Frida Bengtsson)は、子どもの頃、原発を止めることが最大の関心事のひとつだったそうです。彼女の母親がグリーンピースのサポーターであったため、幼いころから環境問題に関心を持ち、16歳のときからボランティアとしてグリーンピースに参加。以来ずっと大学、大学院生のときも、グリーンピースの非暴力のアクションに参加してきました。2001年にはスウェーデンに新設された焼却炉の稼動直前に、7日間にわたって煙突の上で座り込み、ダイオキシンを発生させる焼却がゴミ処理の結論であっていいのかと世論に問いかける活動に参加したこともあります。政治学を学んでいた彼女は、ケニア、ウガンダ、ロシアでも学びました。
スウェーデンは、隣国のノルウェーと同じくよく魚を食べます。昔はタラが中心でしたが、タラが急激に減ったいまは養殖のサケが多くなりました。スウェーデンでも、5年ほど前までは破壊的な漁業の問題について市民が関心を持つことはあまりなかったといいます。「環境王国」と日本で紹介されるスウェーデンでも、つい最近までそうだったとは、ちょっと驚きでした。
2008年にグリーンピース・ノルディック(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの北欧4カ国にまたがる支部)が、違法・過剰漁業、混獲などの漁業問題や、EUの川に戻ってくるウナギは昔に比べてわずか1〜3%になってしまったことなど、驚くべき水産資源の現状についてまとめた『魚――北欧の持続可能なマーケット・ランキング』というレポートで、主要なスーパーマーケットや生協を比較評価して発表しました。以来、有名なシェフやレストランが協力してくれて、売る側も買う側も海の持続可能性について関心が高くなり、商品の表示もより正確に行われるようになってきたそうです。
混獲は海洋生物がムダに取られてムダに捨てられる大きな問題です。ヨーロッパのトロール(底引き)漁業では、網にかかった魚や生物の70〜80%を混獲物として海に捨てているそうです。
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写真:Oceans Bycatch Action E.U.Council (c) Greenpeace / Philip Reynaers 欧州理事会前に混獲された海洋生物をならべ海洋環境の危機を訴えた。 (Brussels, Belgium, 2004年12月)
空き缶、北極海の海底で発見
エスペランサ号の海底カメラが捉えた、北極海の海底200メートルに横たわるコカ・コーラの缶です。どうやって捨てられて、ここにあるのでしょう? おそらく、トロール漁船か観光船から投げ捨てられたか、湾岸からハリケーンで飛ばされてきたのでしょう。人の住んでいない北緯80度の海岸沿いには、大小のプラスチックゴミも散在しており、そこをホッキョクグマが歩いていました。
私たちを乗せて北極海調査を続けるエスペランサ号はほぼ連日、ケーブルをつなげた水中カメラを北極海の海底に沈めて観察してきました。それは、ときには海底400メートルにまで達し、クルーたちはエスペランサ号から交代でケーブルを巻き上げて、すぐにカメラの記録をチェックします。スクリーンには美しくすばらしい生き物たちの姿が映し出される一方で、ローラーや開口板のついた巨大な網で海底を引っ掻き回して獲物を捕まえるトロール船で削られた溝も数多く見つかりました。地球上のあらゆる場所で、人類がどれほど影響をおよぼしているのかを痛感させられます。
いま、北極海は二酸化炭素の排出による気候変動と海水の酸性化と汚染により、その自然環境を脅かされています。それはコカ・コーラの缶のように目に見えるものから、風や波によって運ばれてくるPCBなど有害物質のように目に見えないものまで、さまざまです。そうした汚染は、ホッキョクグマをはじめとする大型の捕食動物の体内に蓄積されます。北極圏における産業――漁業や石油、石炭・天然ガスの採掘は、この環境破壊の一因でもあります。
気候変動は海流の変化に影響を与えます。
複数の海流(海水の大きな流れ)がぶつかる前線を潮目と言いますが、高緯度(北極や南極に近い海域)の冷たい海流が暖められれば、低緯度(赤道付近)の暖かい海流とぶつかる潮 目は北上(北半球の場合)します。こうした潮目は栄養豊富なため多くの生物が群れる特性があるので、潮目 の動きに沿って魚の群れも北上し、さらに漁船もその群れを追いかけ北上するのです。
このようなところでどんどん漁業が行われ続ければ、手つかずの自然が残る北極海は、ますます危機にさらされます。
写真:(c)Greenpeace/Gavin
Newman 2010年6月北極海
今回の北極調査で海中カメラを操作しているギャビン・ニューマン(Gavin Newman)は、おもに海の中の環境を20年にわたってグリーンピースとともに目撃し、記録している写真家・ビデオグラファーです。フランスの核再処理工場から海中に噴き出す放射能を含んだ排水や、乱獲によって昔は群れをなしていたマグロが消えてしまった地中海などを撮影してきました。日本でも2002年、建設中の六ヶ所村プルトニウム再処理施設周辺でグリーンピースが行ったサンプリング調査や、核燃料(MOX)輸送船を追跡する活動に参加したことがあります。
ギャビンはグリーンピースで働く前、英国BBC放送の自然部門で『プラネット・アース』シリーズなどのドキュメンタリー製作に携わり、いくつもの国際フィルムフェスティバルで受賞。海を愛してやまないことが高じて、品質の高い映像を撮影するため、当時工業用のカメラしかなかった水中カメラに自分で改良を重ねてきたそうです。
なるほど、彼が北極海で撮った、色鮮やかなオレンジ色の大きな二匹のカニがプクプクと小さな泡を吐き出しながら、その目や手足を微妙に動かしている映像はとても美しく、まるで映画を見ているようでした。
グリーンピースが2007年に刊行した海の写真集『Planet Ocean』には、彼が海中で1時間かけてタコにお願いし、名刺大の「いまこそ海洋保護区を(Marine Reserve Now)」と書かれたバナーを持ってもらったというユーモラスな写真が掲載されています。

「大のオモチャ好きだからね」と笑いながらも、海の中を見られない人に見せたい、だれも撮ったことのない海を撮りたいという熱意につき動かされ、ギャビンの北極海での撮影チャレンジが続きます。
人の目の届きにくいところで引き起こされる環境破壊。その現場へ行って、そこで起きている事実をつぶさに記録し、世界へ発信することによって問題解決に結びつける――。「目撃者」となることは、グリーンピースの活動の重要な手段のひとつです。そのためにグリーンピースは船を3隻持ち、どの船もつねに地球上の環境破壊の現場へ向かい、活動しています。そして必ず写真家とビデオグラファーが船に同乗します。
今回の北極調査には、核燃料(MOX)輸送船を追って日本の福島にも行ったことのある英国出身のニック・コビン(Nick
Cobbing)が写真家として参加しています。もう15年にわたりグリーンピースとともに活動している彼は、エスペランサ号から飛び立つヘリコプターの中から身を乗り出したり、甲板のクレーンに吊られてクレーン操縦者に指示を出しながらシャッターを切り続けるのも慣れたものです。
ニックは昨年7月から3ヶ月にわたってエスペランサ号が行った北極調査にも同行し、グリーンランドの5つの氷河を科学者8人と調査して回りました。グリーンピースのスタッフと科学者がカヌーに乗って、氷河上の川(氷河の上を融解水が川のように流れるもの)の深さを測る調査の様子を上空のヘリコプターから撮影した写真は、2010年世界報道写真大賞の自然の部で第二位を受賞しました。
「写真家としてグリーンピースの活動に参加することは、歴史的にも社会的にも意義のある、信じられないような経験を味わうこと」と、目を輝かせながら語ってくれました。
「ホッキョクグマがいる!」――ひとりのスタッフが知らせに来てくれて、操縦室に駆け上がります。週末、スピッツベルゲン島の北側の海から、ウッドフィヨルド(Woodfjorden)を南下したときのことです。ホッキョクグマは晴れ渡った青空のもと、白い雪が残る岩山をゆっくりと下りてきます。このあたりは海氷が残っていないので、山を下りてきたホッキョクグマは海岸沿いを歩いていきました。
雪の大地とエスペランサ号の間に広がる海の中を、悠然と泳ぐ大きなクジラ、海岸の絶壁に巣づくりをして飛びかう鳥たち。厳しい自然の中を生き抜く生きものたちは、とても強そうに見えます。しかし、彼らの生活は私たちの行為次第でもろくも崩れ去ってしまいます。大型の産業漁船で混獲される海鳥は年間30万羽、クジラ、イルカは30万頭が網にかかって命を落としていると推定されます。(混獲について詳細)
2008年にグリーンピースの招きで来日したブリティッシュ・コロンビア大学漁業センター所長のダニエル・ポーリー氏によると、小規模漁業とは違ってトロール漁などの大規模漁業では混獲で海洋投棄される魚や無脊椎生物の量が非常に多く、年間1000万〜2000万トン捨てられているといいます。それだけ膨大な生き物を無駄に殺して得る漁獲物。その多くは日本に輸入され、知らないうちに私たちの食卓にのぼっています。私たちは、目の前の魚がどんな漁法によって獲られてきたものかも知る権利があると思います。
今日も360度見渡すかぎりまったく氷のない北緯80度の海を、トロール漁船を見つけては航海しています。このあたりの一部は、歴史的に見ると6月のいまぐらいの時期にも氷で覆われていた海域です。
南極では1970年代から、資源を求める各国が競って基地を開設し、魚類の乱獲と鉱物資源採掘の脅威にさらされていました。米国基地はカドミウムを含んだ
廃液を海に垂れ流し、フランス基地は空港の滑走路建設のためにペンギンの繁殖地もろとも破壊するなど、すさまじい環境破壊が進みました。
グリーンピースは1987年、各国基地による環境汚染を調査するため、非政府組織として初めて南極基地を開設し、「南極をワールド・パーク(国際的環境保護区)に」と各国政府に働きかけ続けました。13年にわたる活動の結果、ついに1991年、各国政府は南極環境保護議定書に合意。これによって、以後少なくとも50年間の鉱物資源開発が禁止されることになりました。
一方の北極海は、南極条約のような国家間の合意がなく、氷が後退した海には原始のままの自然が、豊富な漁業資源や海底に眠る石油・天然ガス資源とともに開発競争にさらされています。バレンツ海の海底で採掘された天然ガスは、日本でも消費されました。グリーンピースは、かつては氷で覆われていた北極海域にも産業的な開発の暫定的停止(モラトリアム)を適用するよう、国連および各国政府に求めています。